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市民ミュージカル「がんばれッ!日本国憲法」
浅川壽一
(「がんばれッ!日本国憲法」上演実行委員会事務局次長・横浜弁護士会弁護士・横浜合同法律事務所)

1 「がんばれッ!日本国憲法」とは

 「がんばれッ!日本国憲法」は、横浜で20年以上続いている市民ミュージカルです。その特徴は、(1)市民が中心となって企画・運営がなされていること、(2)毎年1回ミュージカル風の演出で公演を行っていること、(3)公演は毎年オリジナルの台本と曲を用いて憲法に関する事件や世相を題材にしていること、(4)演劇のストーリーを通じて憲法の価値をわかりやすく伝えていること、(5)学習会やフィールドワークを通じてメンバーが憲法や世相に触れる機会を設けていること、(6)総勢数十名が舞台にあがって迫力ある歌と踊りを繰り広げていること、です。

2 市民中心

 「がんばれッ!日本国憲法」は、元々は青年法律家協会(青法協)神奈川支部の呼びかけで始まったイベントでした。しかし、現在は、市民が中心となって企画・運営されています。弁護士である私たちも、上演実行委員会に参加してはいますが、あくまで一般市民の方々が主導です。私たち弁護士としては、上演実行委員会に参加しながらも、市民の方々の意見を尊重し、市民が行っている運動を見守り、熱く応援している、という意識でしょうか。憲法の価値を伝えるイベントが、一般市民自らの手によって行われていることに大きな意義があるのです。

3 毎年一回の本公演

 「がんばれッ!日本国憲法」最大のイベントは、毎年一回行われている本公演です。2007年は5月2日と3日、横浜の神奈川県立青少年センターホールにて、合計3回の公演を行いました。観客は、延べ1200名を数えております。この本公演を成功させるために、出演者もスタッフも一丸となって、頑張っているのです。

4 オリジナルの台本と曲

 「がんばれッ!日本国憲法」では、毎年、オリジナルの台本を用います。今年は、「格差社会」をメインテーマに選びました。そして公立の中学校とネットカフェの現場から、「格差社会」が広がりつつある現状を紹介しました。公立の中学校では、学校選択制が始まる中で、特色のある教育を打ち出さねばならない教員たちの苦悩のほか、特色のある教育を生徒に受けるためには結局生徒の親から様々な名目でお金を集めなくてはならず、結局は裕福な家庭しか特色ある教育を受けることができなくなってしまう現状などを紹介しました。ネットカフェの現場では、ネットカフェに寝泊まりする若者たちの視線から、過酷な労働環境に直面している労働者たちの姿や、知らず知らずのうちにイラクに派遣され軍隊の仕事に関わり生命の危険に晒されている若者の姿などを紹介しました。演劇に用いられる音楽も、すべてオリジナルの作詞・作曲で、生のバンドを使って、迫力ある演奏を行っています。詞の内容は、憲法の価値をわかりやすく伝える、メッセージ性の強いものばかりです。

5 憲法の価値を伝える

 このような演劇や歌と踊りを通じて、憲法の価値をわかりやすく伝えようとしているのが、「がんばれッ!日本国憲法」なのです。「格差社会」と一言で言っても、それがどういうものなのか、現場でどのようなことが起きているのか、出演者たちの演劇を通じて、知ってもらう。そして、現場が苦しんでいるこの状況は、憲法の価値がないがしろにされているからではないか?もっと憲法を大切にしよう!・・・そんなメッセージを込めて、出演者は、演じ、歌い、踊っているのです。この出演者たちの熱意が、見ている人たちに感動を与え、熱烈なファンを生み出しているのかもしれません。

6 学習会やフィールドワークなどの活動

 「がんばれッ!日本国憲法」の活動は、年に一回の本公演にとどまりません。若者や初めて参加した市民の方々にむけて、勉強会を開催したり、フィールドワークを行ったりしております。勉強会では、講師を呼んで憲法や労働関係の現状について学習をしました。フィールドワークでは、靖国神社や原爆資料館などの見学が行われています。また、「九条の会」などのイベントに招かれ、ミニ公演をすることもあります。「がんばれッ!日本国憲法」は、本公演にとどまらず、継続的な活動をする護憲の集まりでもあるのです。

7 迫力ある舞台

 こればかりは、言葉で表現しきれません。実際に、見て、聞いて、感じていただきたいのです。こどもからお年寄りまでの一般市民が、「憲法を護りたい」、「憲法の価値を育てたい」という気持ちで、舞台に立って、自分たちの気持ちを一所懸命に伝えようとしているのです。今年の本公演では、クライマックスのシーンで、涙を流しながら出演者と一緒になって歌っている観客の方々がいらっしゃいました。それほどに、見る人々に感動を与えるのが、「がんばれッ!日本国憲法」なのです。

8 「がんばれッ!日本国憲法」のこれから

 「がんばれッ!日本国憲法」は、2008年の本公演に向け、スタートしました。20年以上続いたこのイベントですが、悩みも多く抱えています。まずは、資金難。次に、参加者不足。その他にも、足りないものはたくさんあります。困難だからと言って、止めてしまうのもひとつの選択です。しかし、私たちは、走り始めました。憲法があぶない今だからこそ、「がんばれッ!日本国憲法」を応援してくださる人たちのために。そして、護憲のメッセージを広く世の中に伝えるために。憲法の価値を護り、育て、伝えたい。だからこそ、「がんばれッ!日本国憲法」なのです。