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特集「東日本大震災・原発災害特別編集」

H・T


今回の大震災と原発事故について、1冊のほとんどを使った特集です。震災・事故は戦後最悪のものであり、歴史的転換点にしなければ未来を生きられないという編集意図が述べられています。論者によってニュアンスないし濃淡の差はありますが、日本は「敗北」したことを受け入れなければならず(鶴見俊輔、金子勝)、日本はもちろん世界の文明の構造転換が迫られている(池内了、西谷修ら)という危機感が通底しています。

憲法を明示してはいませんが、憲法の理念を深く掘り下げ、憲法に新しい生命を吹き込む諸論稿です。

大震災は、環境は人間が保護するものではなく自然環境が人間の生存を保護してくれてきたことを気付かせてくれたとの主張(坂本義和)は、環境権の理解の深化に関わります。

原発については、電力会社、行政機関、学者らによる原発利益共同体が、営利を優先し人間の生命・安全を第二義的なものと扱い、危険性についての国民の知る権利を無視して「原発安全神話」を作ってきたことが告発されています(内橋克人ら)。福島第一原発で進行中の事故や各地の原発について、地震学や原発の専門家による重大な情報が本誌で開示されています(石橋克彦、田中三彦ら)。

「社会的共通資本」である原子力発電を一営利企業に任せてきたこと(西谷修)は財産権の規制についての反省を迫るものです。「富の蓄積が‥自己目的化したとき、‥さらなる欲望の暴発を引き起こし、不自然な経済社会が出現する」(岩田靖夫)。
震災と原発事故は、国家権力を制限し国家に命じる立場にある主権者自身が何を「幸福」(憲法13条)とし、何をもって豊かさと考えるかという、私たち自身の価値観の転換を迫っているという認識は多くの方に共通しています(宮田光雄、池内了)。

生命権や生存権を含む諸々の人権を実現させるために、これまでの電力行政の責任をきちんと追及するとともに、新しいエネルギー政策の樹立や地域主権型経済等への転換が提言されています(金子勝ら)。諸施策を強力に進めるに当たって、関東大震災後の歴史に見られるように、力への誘惑からファシズムが台頭することへの警戒も述べられています(寺島実郎)(以上敬称略)。

【書籍情報】「世界」2011年5月号所収 岩波書店発行 840円(税込み)

 

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