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書籍『福島原発事故―どうする日本の原発政策』

H・T

 

 原発事故は、平和的生存権、健康で文化的な生活、人間の尊厳、そして情報公開や民主的な政治行政の観点からもすぐれて憲法に深く関る問題です。
本書は、原発のイロハから事故による様々な問題やこれからのエネルギー政策まで広く学びながら、上記の憲法に関わる諸問題も実質的に考えさせてくれます。新聞やテレビで接した断片的な知識が体系的につながり整理されるという点でもとても親切な本です。

著者は、最近、新聞、テレビ、講演会でひっぱりだこの安斎育郎さんです。専門は放射線防護学ですが、これまで憲法や平和の問題についても幅広く発言して来られました。原発推進派の育成機関として事故後有名になった東大工学部原子力工学科の院生時代から、周囲から孤立しながらも原発推進に一貫して批判的な視点で研究、活動して来られた著者の発言は重みがあります。

第1章「福島原発事故による放射能災害」では、事故の態様などが多くの図入りで分かりやすく説明されています。現在進行形の事故の放射線の重大な危険性を認識すること、一方において過度に恐れないことが必要なことを科学の目で冷静に述べています。

 第2章の「放射線による被曝とは何か」は、原子核の構造から始まって「放射線」と「放射能」の違い、放射線の人体への影響とそれへの対処の仕方が分かりやすく解説されています。

 第3章は、「原発の、何が問題なのか」です。チェルノブイリの事故や国内における従来の「不幸中の幸い」な事故を紹介しつつ、「大事故は必ず想定外の原因で起こる」ことは大規模技術を考える場合の「常識」だと訴えています。

 次の第4章は「どうする、日本の原発政策」です。アメリカに政治的・経済的・技術的に依存して開発された日本の原子力政策を転換することは、アメリカとの関係で容易ではないという指摘はマスメディアではなかなか触れられないことです。

 最終章では、半世紀近くに渡って原子力畑に関ってきた科学者とし、今回の危機的な事態が招来することを防ぎ切れなかったことを「心からお詫び申し上げたい」と結んでいます。総ての学問分野にも通じる、科学者としての良心や厳しさが感じられます。

【書籍情報】安斎育郎著 かもがわ出版 2011年5月刊 本体価格1,500円+税




 

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