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書籍『雇用破綻最前線』

T.S

 

東日本大震災により、命が助かったとはいえ、住まいのみならず仕事を失った人々が多くいます。企業が存続しても仕事がないため、有期や派遣の労働者は真っ先に切られました。しかし、これは被災地ばかりでなく、全国で日常的に起きています。
本書では、有期で働く立場の弱さゆえの上司からのいじめや労働条件の不利益変更、個人請負や委託への変更など、働く側が不利になる事例が紹介されています。また、裁判所は正社員の整理解雇の四要件をより具体化し、その結果、有期雇用者や派遣労働者の雇い止めの推進を明確化したことで、身分的待遇格差が社会で定着した問題を指摘しています。
厚生労働省の「雇用政策研究会報告書」などでは、あたかも労働者側にも「柔軟で多様な働き方」を求めるニーズがあるように語られます。しかし実際のアンケートでは、「非正規雇用を選択せざるえなかった」、「今でも、正規雇用を望んでいる」という人が多いことが明らかになっています。非正規雇用制度を拡大・温存してきた経済界と政府の責任は重大です。
新自由主義にたった小泉構造改革で、労働者派遣制度が規制緩和政策の一環として広がり、派遣対象業務は原則自由化(ネガティブリスト化)となりました。著者の中野弁護士は、この自由化は労働の商取引化と雇用破壊を急速に進めたと指摘します。加えて、西欧と違い日本の雇用慣行にはジェンダー差別が織り込まれているという日本的特質を暴き、その改革を訴えます。 
そして、最後に、雇用制度改革の方向について、無期限の直接雇用の原則、差別と濫用の撤廃、有期雇用とする場合の使用者の立証責任などを提起しています。憲法に定められた労働権が危機にある状態をなんとか克服していきたいものです。

【書籍情報】 中野麻美著 岩波書店 2011年5月刊行 定価(本体500円+税)

* 当サイトに搭載している「憲法文献データベース」では「生存権」「労働基本権」「ジェンダー」などのキーワードごとに憲法関連文献を検索できますので、ご案内します。




 

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