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書籍『破壊と希望のイラク』

T・S

 

 イラク戦争の際、日本は初めて自衛隊を戦闘地域に派遣しました。イラク戦争に正当性がなかったことは、ブッシュ大統領の「間違った情報にもとづいた戦争」発言やオランダの独立調査委員会の「イラク戦争は国際法違反」との報告書、英国での独立委員会でのブレア元首相の証人喚問などでも明らかになっています。しかし、日本においては政府による検証はおこなわれず、市民レベルで「イラク戦争の検証を求めるネットワーク」が立ち上げられ、日本における検証を求める運動が進められています。
 その呼びかけ人の一人で、イラク支援ボランティアを行なってきた高遠菜穂子さんが「イラク報告会などでは伝えきれない『人間イラク』」を語っています。
 高遠さんは2003年からイラクで活動を始め、2004年には武装勢力に拘束され、解放後はイラクで活動できず、隣国ヨルダンなどでイラクからの難民の救援活動を行い、2009年に再びイラクに入国しました。本書には、その8年間に高遠さんが現地で出会った人々の生の声と心の交流が綴られています。
 イラクの市民がその被害を語り、また目の前で親・兄弟・子どもを失ったその様子や心情を明らかにしています。イラクでは、一般市民であっても米軍やイラク軍に殺されれば、「武装勢力」とされてしまうことがあります。劣化ウラン弾が原因と思われる奇形児が生まれ、また生まれても間もなく死んでしまう出生異常も多く見られます。真実を伝えようとするジャーナリストは、米軍・アルカーイダ系組織、民兵、イラク警察に狙われ、誘拐・拷問・殺害もあとを絶ちません。
 一方、米兵にも、戦死以外でも多大な被害が出ています。帰還兵により結成された「反戦イラク帰還兵の会」によってPTSD(心的外傷後ストレス障害)などの深い傷跡が告発されています。
 高遠さんは最初にサマワに行ったとき、日本人として大歓迎を受け、イラク人の親日ぶりを知りました。しかし、その後軍服を着た自衛隊が来たとき、現地の人たちは落胆の声をあげました。イラクの人々が日本に何を期待してるかが、ここには如実に示されています。
 厳しい環境のなかでも、明るくたくましく生きていこうとする人たちと高遠さんたち支援者との交流は、これからのイラクの希望を感じさせてくれます。

【書籍情報】 高遠菜穂子著 金曜日 2011年3月20日発行 定価:本体1500円+税

* 以前、当WEBサイトの「今週の一言」のページ下記の発言を掲載していますので、ご案内します。

 高遠菜穂子さん「イラク戦争って何だったんだろう?」
 志葉玲さん「今こそイラク戦争の検証を―平和憲法を持つ国のケジメとして」

*9月24日(土)にイベント「自省と対話のつどい −間違いだったイラク戦争を検証する」が開催されます。当研究所も協賛団体として協力しています。こちら



 

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