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論文「平成の『属国』化 TPPの嘘」

H・T

 

 TPP(環太平洋戦略的連携協定)交渉参加が重大な問題になっています。かねてから交渉参加に警鐘を鳴らして来られた金子勝教授が問題点を整理されました。

 まず、この段階になっても、政府は交渉内容の詳細を明らかにしていないことを指摘しています。メディアも、「TPP問題に関して、農業対工業というステレオタイプな対立図式を垂れ流して」おり、「農産物の市場アクセスの問題は計24のTPPの一つの分野にすぎ」ないとして、以下のように「いくつもの嘘=情報隠し」を列挙しています。

 @「不良債権の損失で苦しむ米国金融機関に利益獲得機会を与えるために」金融分野では再び郵政民営化が問題になるだろう。A保険・医療分野では、「混合診療」を全面解禁させていく可能性があり、「日本が長年培ってきた国民皆保険制度の崩壊につながりかねない」。B自動車、農薬、牛肉の安全基準の見直し。C移民規制、弁護士・医師・看護師などの免許、公共事業の入札要件の緩和が含まれる可能性があることなど。

 さらに、貿易自由化に関しては、TPPをとるかFTA(自由貿易協定)・EPAをとるのか、ポジティブ・リスト方式(自由化対象だけを記載)をとるかネガティブ・リスト方式(リストに記載しないものは基本的に自由化する)をとるのかでいずれも決定的な違いがあるがメディアはこれらの点も無視していることが紹介されています。

 日本にとってTPP参加の一番のメリットは工業製品の輸出を伸ばすことだとされていますが、この点についても、米国が交渉参加を迫っているのは至上命題となっている自国の輸出増加のためであることなどから疑問視しています。

 日本の農業は壊滅的な打撃を受ける可能性が高いこと、大局的にみるとアメリカは小泉政権時代に積み残した日本経済の「構造改革」を一気に定着させる戦略を持って臨んでいることなどが手際良く説明され、TPPは憲法の理念に基づく私たちの生活に極めて重大な影響を持つことを理解するのに役立ちます。

【論文情報】月刊「世界」2011年12月号所収 執筆は金子勝教授 定価840円(税込)

 



 

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