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憲法情報Now<憲法関連書籍・論文>

 

論文「憲法と応能負担原則―その空洞化」

H・T

 憲法学の書籍では、条文に明記されている納税の義務と租税法律主義(30条、84条)については説明されています。しかし、税の負担のあり方についてはほとんど論じられてきませんでした。消費税率の引上げが大きな政治課題となっている今、この問題について憲法はどのように考えているのか、大いに議論する必要があります。

 本論文は、税法学者の故北野弘久教授が憲法の解釈論として税負担の原則を論じています。2001年の論文ですが、「財政再建」を理由に消費税率5%の引き上げが政府税制調査会によって答申されたことを踏まえて、憲法上の原則を再確認する趣旨で執筆されました。現在と基本的に同じ状況です。

 教授は、「21世紀は国際的にも国内的にも平和・福祉を志向する『日本国憲法の世紀』でなければならない。それは伝統的な自由権に加えて平和的生存権と社会権の世紀でなければならない」という基本的なスタンスを最初に明らかにしています。

 これを踏まえ、13条、14条、25条(生存権)、29条(財産権)の解釈として、負担する能力に応じて負担するという「応能負担の原則」を導いています。憲法を勉強された方も、25条の自由権的側面についてはあまり考えたことがなかった方が多いと思われますが、教授は、「最低生活費までの所得には国家は介入してはならない。」と述べています。また、29条が保障するのは「一定の生存権的財産権」であると解しています。

 教授は、この原則の具体化として、「@所得税・財産課税の直接税を中心とする。A法人税を含めて累進税率を強化する。B消費税などの間接税は直接税の補完税として位置づけ、個別消費税とする。」など5項目を掲げています。

 憲法の根幹となる理念に依拠する教授の鋭い問題提起に接することは、消費税増税や最低生活費非課税等の問題を徹底的に考えるうえで不可欠とも言えるでしょう。
 法人税、資産課税、租税特別措置、各種控除の問題なども多面的に論じられ、現行の税体系の全体像を理解するために格好の論文です。

【論文情報】「法と民主主義」2001年2・3月合併号所収 日本民主法律家協会発行 1000円+税

 

* 法学館憲法研究所は3月23日(金)に公開研究会「消費税と憲法―応能負担原則を問い返す」を開催し、憲法の視点から消費税増税の問題を考えます。多くの方々のご参加をお待ちしています。



 

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