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書籍『消費税によらない豊かな国ニッポンへの道』

H・T


 著者は、「不公平な税制をただす会」事務局長・税理士の富山泰一さんです。日本は大企業、高額所得者、大資産家といった富める者には「高福祉低負担」、庶民には「低福祉高負担」の国であると位置づけています。憲法によっても、先進国の例でも、社会保険料を含めた税の原則は応能負担です。応能負担の原則とは、単に負担だけでなく、国からの給付も総合して考えます。福祉とは、日本で定義されている概念よりも広くヨーロッパと同様、教育や住宅も含めます。このように考えると、日本は単純に中福祉・中負担の国とは言えないことになります。このことが各種の税の説明と豊富な数字、グラフによって大変分かり易く解説されています。

 消費税が導入された頃から、収入の二極化が著しく進行しました。役員報酬や株の配当金の増加などで富める者の富は益々増えました。一方、賃金の抑制等により貧しい者の収入は益々減りました。負担面では、所得税の累進性の大幅な緩和、配当所得などの分離課税と減税、法人税の減税などで富裕層と大企業の負担を減らす反面、消費税の導入・増税、社会保険料の引き上げなどで貧しい者の負担は益々増えました。「収入の二極化に反比例した負担の二極化」と説明されています。

 せめてドイツ、フランス並みの中福祉・中負担の国をいう意見が多い中、著者は題名にある「豊かな国」として北欧並みの「高福祉高負担」の大きな国を目指すべきだと主張しています。国家の最大の役割は国民の生活を豊かにすること、すなわち賃金を上げ、教育や住宅を含めた福祉を充実し「生活大国」を創ることにこそあるからです。その財源は消費税によらなくても充分に存在すると、財源を例示しています。日本の公共事業費は米英仏独伊加の6か国の総計よりも多いことなどはあまり知られていないでしょう。特別会計改革で33兆円は削減できることも指摘されています。資金が有り余る富める企業や高額所得者に対する不公平な優遇策をカットし応分の負担を求め福祉を充実させた国は経済も活性化していることが具体的に示されています。
 なお、EUは2008年に個人消費を後押しするために付加価値税の税率を引き下げる提案を行い、イギリスやフランスはこの方向で動いていることも紹介されています。
 税制に関するマスメディアの解説、論調が一面的であることを気付かせ、消費税によらなくても生活大国を建設できるという大きな構想を提示してくれる書籍です。

【書籍情報】
2009年5月、あけび書房から刊行。富山泰一著。本体1,500円+税

 

*法学館憲法研究所は3月23日(金)に公開研究会「消費税と憲法―応能負担原則を問い返す」を開催し、憲法の視点から消費税増税の問題を考えます。多くの方々のご参加をお待ちしています。



 

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