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論文「『脱原発』と日本国憲法―ドイツの経験と日本の展望」

H・T


 各地の脱原発訴訟を紹介している特集記事「原発災害を絶対に繰りかせさせないために」(パートV)の冒頭の論文です。筆者は日本学術会議の前議長の広渡清吾氏です。

 氏は、世界唯一の被爆国である日本が原子力の「平和利用」という論理で、いかにして世界第3位の原発大国になったかの課程を通観し、被爆者も一般市民も科学者も「核兵器=悪」と「原子力平和利用=善」という善悪2分論を突破できなかったことを明らかにしています。1955年に原子力法が「民主、自主、公開」の3原則をもって制定されましたが、「公開」は「成果の公開」に限定され、アメリカ頼みの導入で「自主」の原則にも抵触するものでした。

 次いで、フクシマの原発事故を受けて、ヨーロッパではドイツ、イタリア、スイスが脱原発を決定したことが紹介されています。ドイツでは首相が設置した倫理委員会が政治、経済、市民社会、科学の広範な協働を呼びかけ、「技術的側面や経済的側面」に優先する「持続可能性と責任」という倫理的な判断基準で脱原発が決定されました。

 日本の脱原発をまず平和主義の観点から説いています。核不拡散条約(NPT)は5つの国の核保有を認めていますが、日本はこの5国以外で唯一原爆製造に必要な中心技術、すなわち、ウラン濃縮施設、原子炉および再処理施設を保有し運営している国であり、原発を推進しようとしている人たちはこの原発が持つ「潜在的核抑止力」、外交政策上の重要性を重視していることが明らかにされています。もともと原発の技術は原爆を製造するための技術でもあり、先述の2分論は成り立たないことも。

 さらに、人類史より長期間管理すべき使用済核燃料と高レベル放射性廃棄物を生み出し続けるなど原発は持続可能なシステムとは言えず、現世代と将来世代の生存権を侵害していると指摘しています。

 日本も脱原発をできるだけ早く決定し、それに向けた計画的な実行を進めることを提言して、各地の原発訴訟の展開の報告につなげています。

【論文情報】論者:広渡清吾 法と民主主義2012年2/3月号所収 日本民主法律家協会発行 定価1000円+税



 

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