法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

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論文「『人権』という理念と日本社会」(紹介文・その2)

H・O


前回からの続き

 この論文で浦部法穂・法学館憲法研究所顧問が、日本においては「人権」「権利」は「正しいこと」を内実とするものだということに意識的に強調していく必要性があること、日本での「人権」理念の実現には「個人」の確立が必要だということ、などをその歴史をふまえて解き明かしています。前回紹介したとおりです。
 この論文で浦部顧問は、つづいて、こんにちの人々が権力というものを信頼し依存しがちであることに警鐘を発します。国家・公権力による侵害から人々の権利を守るために、国家・公権力を抑制するために憲法は存在しています。したがって、そこには権力に対する懐疑と警戒心が前提としてあるはずなのに、日本人にはその意識が希薄で、むしろ権力への依存傾向が強い状況に警鐘を発します。住民の側が街中への監視カメラの設置を要求していること、被疑者・被告人に対する厳罰化を求めるようになっていること、などを例に、権力に守ってもらおうという傾向が過大になりすぎていると指摘します。
 そして、このような事態の背景に、戦後の日本人の多くが依存してきた「会社」が国際的な競争環境のなかで、もはや社員を守れず、「派遣」など非正規労働を広範に導入していくことになったことをあげ、人々の最後のよりどころが国家や地方自治体になってきていることがあると解明します。
 国や地方自治体に果たしてもらわなければならない施策は少なからずあり、国民として国に地方自治体に求めていくべきことは多々あるでしょう。しかし、国や地方自治体が人々の人権を脅かすことがあるので、あらかじめそれを憲法が制限している、という近代立憲主義の考え方は、とりわけ日本において意識的に人々に広げる必要があるということを再確認させてくれる論文です。

【論文情報】
日本司法書士連合会発行の「月報 司法書士」2010年5月号に収載。

<法学館憲法研究所事務局から>
浦部顧問による連続講座「生活と憲法」(全5回)が5月19日(土)から開講となります。ここでも浦部顧問の憲法学の見地からの日本社会論が語られます。ご案内します。



 

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