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書籍『本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること — 沖縄・米軍基地観光ガイド 』

H・T


 5月15日、沖縄が復帰して40年が経ちました。本書は、この機会に沖縄の真実、ひいて日本の真実を改めて知る手がかりとなる本です。沖縄各地の米軍基地を中心に写真家の須田慎太郎さんが多様な角度から撮影した写真の数と迫力に圧倒されます。地図付きの親切な観光ガイドですので、本書を片手に基地めぐりをされてはいかがでしょうか。

 筆者の矢部宏治さんは豊富な資料を集めて、沖縄と日米安保体制の現状を端的に紹介しています。
 現状を第2次大戦時からのアメリカの世界戦略から俯瞰していることも特徴でしょう。アメリカは大戦のとき、CIAのさきがけのひとつである戦略情報局に全米最高の学者たち900人を集め、徹底的に日本を分析して基礎資料を作成し、行動計画と心理戦略を立てたとのことです。戦後の日本人論のお手本と言われた「菊と刀」もこのときの「対日心理戦争」の一部でした。その著者ルース・ベネディクトは、長期に渡って日本をアメリカに従属させるには日本文化の基底には言葉にできない非アジア的な天皇中心の「文化パターン」があるという考えを広めると効果があると結論付け、日本がアジアと心理的に距離をおけば、決してアジア諸国と共同歩調はとれないだろうし、アメリカに依存し続けるはずだという戦略を立てていたとのことです。

 上記は一例であり、よく言われることですが、アメリカは何が国益かを戦略的論理的に分析して外国と対応しています。第2次大戦で失敗したとき以来の日本の弱点である情緒性は反省されていないことと対比されます。
 日米安保条約によって日本はアメリカに守られているというのもその一つです。アメリカは、「自助及び相互援助の力」を持つ国でなければまともな相互防衛条約は結ばない国であり、憲法9条を持つ日本は、米本土が攻撃された場合にアメリカを守れません。従って、安保条約はアメリカによる単なる基地自由使用協定ではないか、沖縄の返還によりそれが全土に広がっただけではないかということです。

 鳩山首相がやめたいきさつ、沖縄には核兵器が今もあるのではないかなど、本土の新聞では報道されず、それゆえ本土の人間が知らない事例が豊富に紹介されています。

 但し、安保条約をなくす手続きや日本国憲法制定の経過をどう見るかなど、部分的には異なる見方もあるでしょう。 

【書籍情報】
2011年4月、書籍情報社から刊行。著者は矢部宏治氏。監修前泊博盛氏。定価:1300円+税。



 

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