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論稿「金大中氏の苦難と日本 −『拉致事件』と『死刑宣告』」

H・O


 韓国の金大中元大統領の死去(2009年)後、金大中氏が最も信頼を寄せた弁護士・韓勝憲氏が雑誌「世界」に寄せた論稿です。
 金大中氏の日本とのかかわりの中で重大な2つの問題、すなわち、金大中氏が日本滞在中に拉致された事件のこと、金大中氏が「内乱陰謀」の罪で死刑宣告を受けたこと、が記されています。具体的には、日本政府が金大中氏の拉致の兆候を知っていながら適切な予防措置をとらなかったこと、韓国政府とともに事件の真相究明に蓋をしてしまったこと、韓国政府が日本政府との合意に反して金大中氏の日本亡命中の行為を理由に死刑を求刑したが、日本政府がそれを黙認したこと、などを指摘し、日本政府がその過ちを反省すべきとしています。韓勝憲弁護士は金大中氏を守る日本の市民の取り組みを評価しつつ、日本政府の責任を問うています。
 この論稿は、金大中氏の功績も明らかにしていますが、筆者は金大中氏が最も信頼を寄せた韓勝憲弁護士の見識・姿勢のすばらしさにも感銘を受けます。韓勝憲弁護士は金大中氏が大統領就任後にその発令で監査院長に就任します。大統領の行政をチェックする任務を与えられたのです。その際韓弁護士は大統領が監査院の業務に干渉することがあったら毅然と対応する準備をしました。自分を要職に任命した最高権力者であったとしても、職務の独立性を守ろうとしたのです。結局金大中大統領が監査院に干渉するようなことはなかったとのことですが、両人の見識の高さをうかがい知ることができます。
 韓国の政治にも紆余曲折がありますが、軍事政権による国民弾圧の政治をやめさせて民主化をかちとった市民と政治家の力は大きいと感じます。先駆的な憲法を持ちながらも、民主主義社会を自らが勝ち取ったという認識を持たない日本人が韓国に学ぶことは多いように思われます。

 この論稿は雑誌「世界」(岩波書店)2009年12月号に収載されました。

 

* 6月9日(土)、講演会「金大中氏の功績と『金大中図書館』」が開催され、韓勝憲弁護士が「金大中元大統領と韓国の民主化運動」と題して講演します。ご案内します。詳しくはこちら



 

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