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書籍『不愉快な現実 ― 問題を直視できないこの国の瀬戸際』

H・T


外務省の国際情報局長や防衛大学校の人文社会学群長等を歴任した元外交官孫崎亨氏の近著です。氏の著作『日米同盟の正体―迷走する安全保障』は2010年に紹介しました。この著書では、日米安保体制は形のうえでは残っているが、2005年の「日米同盟:未来のための転換と再編」という国会の承認を経ない新文書によって、同一性を失い変質(転換=transformation)したことを解説していました。

本書「不愉快な現実」においても、日本の外交・安全保障分野では1990年代前半から、急速に対米従属が始まったこと、かつ軍事面だけでなくTPPなど日本社会が全面的にアメリカのシステムを導入することを求められていることを確認しています。その根底には日本の政治家、官僚、財界人、マスコミだけでなく日本国民の多数に、アメリカが日本の安全を保障してくれることを前提に、日本は日米同盟を中心にして東アジアにおける日本の軍事的経済的な国益を守り、中国などに対抗して行くという意識があると述べています。

しかし、これは事実とは異なり、150年もの間中国より優位にあった私たちにとっては「不愉快な現実」を早急に受け入れないと日本は益々国益を損なうことを多面的で豊富なデータを示して警告しています。「不愉快な現実」とは、アメリカは、中国が経済・軍事両面で自国と肩を並べる大国となるゆえに戦略として中国との関係強化を図っていること、日米同盟の強化は万が一のときの備えに過ぎず、そのため日本に中国敵視政策を続けさせているがいざとなったら当然のことながら国益に従い日本を守らないことなどです。

日本人は世界の大きな歴史の変化、自分の強みと弱み、及び他国の事情を客観的に分析して最適な道を選択する戦略を立てる知的作業において甚だ怠慢であると筆者は強調しています。EUやASEANの努力に学んで、平和的手段で東アジア共同体を建設する道を探ることが日本の生きる道だという提言は示唆に富みます。極めて重要な外交問題であるにもかかわらずマスメディアは触れようとしない領土問題も、歴史的経緯からわかりやすく解説しています。

【書籍情報】
2012年3月刊行。講談社現代新書。著者は孫崎亨氏。定価:760円+税。



 

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