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書籍『内部被曝』

H・T


 著者の肥田舜太郎さんは医師で、広島市への原爆投下により自身が被ばくしつつも、被ばく者の救援・治療にあたり、その後も6000人以上の臨床体験を踏まえ、低線量・内部被曝の影響に関する研究に携わってきました。95歳の今も旺盛な執筆や講演活動を続けています。本書は、今年の3月に刊行されました。

 肥田さんは、「そもそも、自然放射線は、放射線に最も弱い胎児の10万人に1人から2人の割合で先天性奇形児を生み出してきた。人類は数百万年かけて、それに対応する能力を育ててきた。それを排出したり、破壊されたDNAを修復する機能を強化し、自然放射線に強い体づくりを長い時間かけてやってきた。」と言います。

 ところが、このゆっくりしたプロセスを無視して、せいぜい60数年で人口放射線は突然人類の歴史の中に入り込んできました。人類の体はとても対応できません。
  原爆で直撃を受けたり、破壊された原発修理の作業員が体外からγ線などを浴びる「外部被爆」は相当の量でないと健康被害が出ないとのことです。
 これに対して、空気中の埃や地表、水中にある放射性物質が直接口、鼻、皮膚から、あるいは動植物の摂取を介して体内に入る「内部被爆」は長い間「害がない」とされてきました。ヒロシマ・ナガサキの原爆の影響について研究したり論文を書くこと、また、被ばく者が被害について話すことをアメリカが「軍事機密」として禁止してきたことが大きくかかわっているとされます。このため日本の医学会も無視してきました。
 その中にあって、被ばく者を治療してきた著者は何度も逮捕され、よく殺されなかったと述べています。

 γ線による外部被曝は1回だけなのに、α線、β線による内部被曝では半減期の何十倍もの長さの時間が過ぎて放射能がほぼなくなるか、体外に排出されるまで、四方八方に強い放射線を発し続けます。そのため、細胞膜破壊、有害な活性酸素の発生、免疫システム阻害、DNA破壊などをし続け、ガン、白血病の他、インフルエンザ、肺炎などの感染症、肺気腫、心疾患、糖尿病 胎児の脳障害などを発症させることが明らかになっています。
  筆者は政府や学者がついている一番大きなウソは「年間何ミリシーベルト以下なら安全だ」と言っていることだと述べています。内部被爆のことを全く考慮していないと。
 福島第一原発事故によっても、放射線に敏感な多くの子どもたちには初期の被曝症状が現れているとのことです。

 原発は爆発しなくても、存在しているだけで、放射性物質を多様な方法で放出しているため、近辺住民のガンなどの発生率が高いことを内外の事例で紹介しています。
 内部被爆に対しては現段階では治療法がありません。
 
 まとめの章は、「被爆に対抗するにはどうしたらいいか」「原発のない社会に向けて」です。
 メディアでは未だに触れていない事柄が満載されています。

【書籍情報】
2012年3月刊行。扶桑社新書。肥田舜太郎著。本体724円+税



 

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