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論文「『尖閣購入』問題の陥穽」

H・T


 雑誌「世界」8月号に収載された、尖閣諸島をめぐる論文ですが、政府が国有化の考えを打ち出す前に脱稿されました。従って東京都の所有化が意味する問題にのみ言及していますが、東アジアに大変深刻な事態を惹起する可能性があることが明らかにされています。筆者は元外交官の孫崎亨氏です。

 「尖閣諸島」にはよく報道される3つの島以外に2島あります。「大正島」は既に国有地です。「久場島」は個人所有です。この2つの島は中国名を冠して「射爆撃場」として米海軍に提供されており、米軍の排他的管理区域になっています。石原知事は、久場島も購入する考えを示しています。

 沖縄の日本への返還に際して、アメリカは尖閣諸島の施政権は返還するが、主権問題には立場を表明しないという方針を採りました。このあいまいな戦略は日中間に紛争の火種を残し、米軍のプレゼンスを確保する狙いがあったと解説しています。中国は日米間のこの亀裂をついて、尖閣諸島について強い攻勢をしてきたとのことです。

 尖閣諸島をめぐって日中が衝突すれば、久場島の管理権者であるアメリカは否応なく巻き込まれます。石原知事の戦略は、日中間に「軍事紛争」を生じさせ、日本独自の「核開発のシミュレーション」の行使を宣言するとともに、アメリカが踏み込んで来ざるをえない状況を作り出すことにあると分析しています。

 そうなると沖縄全体が益々危険になります。昭和天皇は、1945年6月、沖縄は「固有本土」でないとして「捨て」るという表現で和平の特使をソ連に派遣しました。オバマ政権は中国の軍事能力の向上により沖縄の抑止力が減少したとして海兵隊の沖縄からの分散配置に乗り出しています。それは、沖縄が捨石として一層日本本土やアメリカの犠牲になることを意味します。

 日中両国の世論状況が極めて悪化している中で、一つの事態がエスカレートして制御不能の「負の連鎖」が引き起こされる恐れが現実となったことが警告されています。
 政府や都の政治を傍観しているのでなく、この危険な現実を変えて平和共存を東アジアに創り出すにはどうしたらよいか、筆者は具体案を提示しています。

【論文情報】
「世界」2012年8月号所収 筆者は孫崎亨氏(元外交官) 岩波書店 840円(税込み)

<法学館憲法研究所事務局から>
 9月15日(土)、「平和と憲法 − "武力なき平和"のリアリティ」と題して水島朝穂氏(早稲田大教授)が講演し、当研究所の浦部法穂顧問(=神戸大学名誉教授)と対談します。こちら。尖閣諸島などをめぐる緊張関係の中で、日本国憲法第9条を活かす道が語られることになります。多くの方々にご参加いただきたいと思います。
  * 水島朝穂教授の「平和憲法のメッセージ」



 

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