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書籍『渡辺治の政治学入門』

H・T


 タイトルは「政治学入門」ですが、1990年代初頭以降の日本の政治状況の特徴と課題を解説、論評したものです。10月末の石原新党結成までを扱い、総選挙の争点と選挙後の見通しまで言及され、選挙に当たって大変参考となります。

 著者の渡辺治氏は、90年代以降の政治を3期に区分しています。第1期は、07年の安倍政権崩壊までです。90年代初頭、冷戦の終焉を画期として、従来までの自民党政治を変えて@自衛隊の海外派兵を求める軍事大国化とA多国籍企業の競争力強化を目指す新自由主義改革の時代が始まりました。新自由主義の急進的実行と自衛隊のイラク派兵を行った小泉政権で頂点を迎えました。その結果、諸矛盾が爆発し、改憲を食い止め、貧困と格差に反対する運動が大きくなりました。そのため、@Aの政策を手直しせざるをえない福田政権が07年9月に成立します。第2期の開始です。頂点は、国民の期待を背負って登場した鳩山政権でした。しかし、周知のとおり、民主党政権は変質して行きます。著者は、その原因として、従来の権力を持った勢力の圧力、特にマスコミの圧力が特筆されると分析しています。加えて、当初の民主党政権の政策を支える勢力が国会で小さく、運動が力不足だったこと、政策を実現するのに不可欠な福祉国家型対抗軸を持ちえなかったことを挙げています。

 第3期は、消費税増税などで3党合意、事実上の3党連立が成立した本年6月からで、「後期新自由主義時代」と位置づけています。上記@Aの再起動の始まりであり、消費税引き上げ、TPP参加、原発再稼働、改憲などの政策課題を有力な政党が一致して推進し「決められる」政治体制作りとそれを実行する時代です。第1期と違う特徴は、社会保障費について国や自治体の責任範囲を縮小することによって抑制しようとしていること、政治に不満を持っている人たちを日本維新の会などに吸収して@Aを推進する事実上を含めての大連立政治を可能にしようとしていることにあると解説しています。特に、橋下氏の手法や、マスコミの論調が同一方向に収斂している理由についての解析などにスペースが割かれています。

 選挙後は、自民党主導の自公・維新の会政権か自民党主導の自公民政権ができる可能性が高く、集団的自衛権容認、改憲が書き込まれる連立の合意書が作られることは間違いないと論じています。

【書籍情報】
2012年11月20日刊行。渡辺治著。新日本出版社発行。本体1500円+税。



 

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