法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

法学館憲法研究所

Mail info@jicl.jp
 
今週の一言
憲法情報Now
 憲法をめぐる動向
 イベント情報
 憲法関連裁判情報
 シネマ・DE・憲法
 憲法関連書籍・論文
 ■今日は何の日?
憲法Voice
研究所・客員研究員紹介
中高生のための憲法教室

憲法文献データベース
日本国憲法全文
リンク集
 
事務局よりお知らせ
賛助会員案内
メールマガジン
ご意見フォーム
サイトマップ

憲法情報Now<憲法関連書籍・論文>

 

書籍『原発のコスト――エネルギー転換への視点』

H・T


 昨年末の大佛次郎論壇賞を獲得した書籍です。「原発は他と比べて安い」ということが、長らく原発を推進する大きな根拠となってきました。これは本当なのかを本書は厳密に検討することを狙いとしています。実は大変コストが高く、未来の世代に莫大なおカネの負担をかけることを論証した決定的な本であることが受賞した理由です。

 従来、経済産業省のエネルギー白書によれば、1キロワット時に発電するコストは、モデル計算によれば原発は5〜6円であり最も安いとされてきました。これは電気事業者(電力10社)からなる電事連が出した資料に基づくもので、政府が独立して計算したものではありません。

 筆者は、第1に、「発電事業に直接要するコスト」だけでも水力より高くなるとしています。第2に、政策的誘導を行う場合のコストとして、@技術開発コスト、A立地対策コストも含めるべきであると主張しています。@は高速増殖炉を中心とする新型炉開発や再処理技術のコストなどです。ここまでだけで、発電コストは火力よりも高くなります。第3に、「環境コスト」として、事故被害と損害賠償費用、事故収束・廃炉費用、原状回復費用などを加えています。事故は最悪の場合、100兆円を超える被害となる可能性もあるとのことです。さらに、バックエンドコストとして、使用済み核燃料の処理・処分コストは莫大で、筆者の机上の計算の18兆円の数倍になる可能性があると指摘しています。費用の問題だけでなく、この処理・処分をどうするか自体の問題を今後数万年の将来世代に先送りしています。

 コストだけでなく、人命の被害、再生可能エネルギーの開発可能性も考慮すれば、もはや脱原発は理念ではなく、5年とか10年などの期限を区切って実施する現実の政策とすべきであるという結論は出ていると説得的に論じています。

【書籍情報】
2011年12月20日刊行。岩波新書。大島賢一著。本体760円+税



 

[今週の一言][憲法情報Now][中高生のための憲法教室][憲法文献データベース][事務局からのお知らせ]
[トップページ]