法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

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憲法情報Now<憲法関連書籍・論文>

 

書籍『「独裁」入門』

H・O


 定職に就けない若者が溢れ、正社員になった者も過酷な労働を強いられ、多くの人々が先行きの見通しがたたず、中小企業や業者も含めて多くの人々が、その日その日の生活に四苦八苦させられる、そんな社会になってしまっています。こうした人々の生活とそこから生じている意識も、こんにち憲法「改正」を唱える政治勢力が勢いを増している重要な背景の一つになっていると思われます。
 こんにち、人々は自分の生活を苦しめている元凶を見定め、同じような境遇にある者同士が連帯してその元凶に抵抗・要求していくようには、なかなかなりません。それよりも、自分よりもちょっと上の人たちを引きずりおろしたり、ちょっと劣った人たちを攻撃・排除することに「快感」を覚えがちです。そのようなスケープゴートとして、たとえば、民間企業よりも安定していると一面的にいわれる公務員、働かないで生活していると一面的にいわれる生活保護受給者などが提示され、こうした人たちへの批判に同調することで自分の心の安定をはかっている、などということを著者の香山リカさんは分析しています。人々の中に、もはや物事を多角的に深く考えるのではなく、より端的な、より過激な主張を支持する傾向が広がっている、そのような主張をする者がいま、「独裁者」としての地位を確立してきている、テレビなどがそれを後押ししている、などのことも指摘しています。
 このような状況の中で、いま「オールリセット」という主張が少なくない人々を引き付けているように思われます。憲法「改正」問題もこうした人々の意識状況の中で捉える必要がありそうです。憲法「改正」の問題点や危険性、日本国憲法の積極的意義を語り広げていく際にも、こうした人々の意識状況にもかみ合った語りが重要になるのではないでしょうか。
 そんなことを考えさせてくれた書です。

【書籍情報】
2012年10月、集英社新書として刊行。著者は精神科医で立教大学教授の香山リカ氏。定価は本体700円+税。

<法学館憲法研究所からのご案内>
香山リカさんは、ドキュメンタリー映画「戦争をしない国 日本」の製作・普及の「成功させる会呼びかけ人代表」のお一人です。この映画の製作・普及をすすめる当研究所の伊藤所長との対談録「<伊藤真と香山リカの本音トーク>いまどきの人々と憲法をどう語り合うか」がそのホームページに掲載されています(こちら)ので、ご案内します。



 

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