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ブックレット『新聞記者が本音で答える「原発事故とメディアへの疑問」』

H・T


 「原発事故」では東京新聞(中日新聞東京本社発行)、特に特別報道部が市民の立場に立った報道でひときわ異彩を放っています。本書は、その特報部のデスクの一人である田原牧氏が原発事故(氏は「原発事件」と称しています。)をメディアの内情を含めて総括的に語ったものです。
 
 まず、特報部の職場が少人数で休みもなく過酷な条件で奮闘している様子が紹介されています。事故の収束の傾向が見られるなかで新聞報道さえ「収束」していくなか、公共性を持つメディアの態勢の不備は国民にとって深刻な問題です。

 次いで、若い記者の保守化が悩ましい問題として採り上げられています。東京新聞を含めて偏差値は高いが長いものに巻かれるのに慣れて無難に暮らそうという生き方の記者が増えており、社会一般の反映であると述べています。企業も役所も昔と比べて格段に広報技術を進化させ、記者には自分たちの不利なネタは取らせなくなっていることなどに起因する取材力不足などの実情も紹介されています。

 一方、情報の受け手としての読者が心掛けるべきこととして、メディアには「客観的公正中立」などないことを認識し、自ら考えて主体的に読み判断すべきことを強調しています。メディアはそもそも、それぞれの言い分や見方をもって報道する存在だと突き放して接すべきものだという指摘は重要です。民主主義社会において当然なすべきことが学校教育から欠落しています。

 氏は、「原発ムラ」は、他者の犠牲の上に産官学が癒着して権威や利権をむさぼるという日本社会自体のムラ構造の縮図に過ぎないとして社会全体のあり方を告発しています。
どうしてそうなってしまったのか。推進することで得をする人たちとともに、無責任にお任せの姿勢を続けている民衆自身の問題を問うています。「8・15」と同じ徹を踏んではならず、「今度こそ、日本社会を『個人』と人権に根差した社会をつくる方向へと変えてゆかなければならないと思います」。
 60ページ余りのブックレットですが、広くて深い中身が詰まっています。

【書籍情報】2012年3月刊行。田原牧著。潟Nレヨンハウス発行。本体500円+税。



 

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