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憲法情報Now<憲法関連書籍・論文>

 

論文「緊急事態条項」(書籍『改憲の何が問題か』所収)

H・T


 現在の改憲論が、9条改正問題にとどまらず、私たちの「自由」や「個人の尊重」「立憲主義」を重大な脅威にさらしかねないことに警鐘を鳴らした近刊書です。2部構成で、第T部では現在の改憲動向の問題点の本質が6名の筆者によって明らかにされています。第U部「自民党日本国憲法改正草案の問題点」では、この「改憲草案」の問題点が論点ごとに網羅的に検討されています。

 いずれも深く掘り下げられた重要な論考ですが、そのうち第U部の「緊急事態条項」(水島朝穂教授執筆)を紹介いたします。

 「草案」は新たに「緊急事態条項」を設けました。本条項のベースには「国家緊急権」の議論があります。国家緊急権とは、国家の重大事態において平常時の立憲主義的統治機構の下とは異なる特別の権限を執行権に付与または委任する例外的な権能です。筆者は、日本国憲法の徹底した平和主義の観点から九条の改変と連動して緊急事態条項を新設すること自体に反対であるとしつつ、仮にこれを条文化した場合、立憲主義の観点からどのような問題が生じ得るかを2点から検討しています。

 まず、日本国憲法が緊急権について「沈黙」を守っている意義です。「あるべきものがない」という点で「欠陥」と見るか、戦前の戒厳や天皇非常大権などの反省からあえて採用しなかったと見るかです。第2に、緊急事態条項の規定の仕方とその内容上の問題です。改正草案のこの条項は、各国憲法や先行する各種の「憲法改正案」の緊急事態条項と比べて、緊急事態の定義の曖昧性、法律への委任の多用、法律と同一の効力を持つ政令、権利制限の広範性などの点で突出した専断性と危うさを伴っていることなどを詳細に分析しています。

 「緊急事態条項」は憲法の停止を可能にするものですから、重大な関心を持たざるを得ない問題です。

【書籍情報】2013年5月28日刊行。奥平康弘他編。滑笏g書店発行。本体1600円+税。

 

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