法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

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憲法情報Now<憲法関連書籍・論文>

 

書籍『いま、「憲法改正」を、どう考えるか』

H・T


 通常国会が閉会し、参議院選挙モードとなっています。安倍首相は選挙で「ねじれ」を解消して改憲を進めようとしています。著者は、憲法学の泰斗として、また比較憲法学の国際的な権威として、これまでも『個人と国家――今なぜ立憲主義か』(2000年)や『いま、憲法は「時代遅れか』 (2011年)などで、立憲主義の確立の重要性を力説し、精力的な活動を続けてきました。本書も立憲主義の歴史をさらに掘り下げるとともに、自民党の「改憲草案」を国際的な視点からも俯瞰しています。メディアが提供する改憲情報の大きな限界を乗り越え、改憲案を客観的に理解するうえで格好の新刊です。

 報道の構図は改憲=保守対護憲です。筆者は改憲案は戦後70年続いた「保守」の衰退=戦前の史実も否定する「歴史修正主義」であり、反体制的で「急進的なナショナリストたち」が政権の中枢までを動かし始めたという認識を示しています。海外における認識と一致しています。

 第1部では、立憲主義の日本における歴史を扱っています。この原理は大日本帝国憲法時代の指導層の共通認識だったが、日本国憲法の制定により国民自身が権力を握ったことによりこの言葉はつい最近まで不在だったと指摘しています。しかし、人類にとって普遍性を持つ個人の尊重を確立するために権力を拘束するという立憲主義は不可欠だと力説しています。

 第2部では、「憲法の形骸化」が改憲の理由とされているが、市民は国政選挙によって改憲を阻むとともに、憲法によって人権や平和を守ってきたことの認識が大切であると述べています。そして、「改憲草案」の内容には3つの型があると解説しています(「解釈改憲」の明文化と解釈を超える改正の型、権利保障の制限=例外の原則化、「人類普遍の原理」など基本の考え方の逆転)。それぞれの型の具体例の説明は大変参考になります。

 第3部では、いま「決める政治」というキャッチフレーズが渦巻いているが、言葉に流されず人類普遍の原理を捨てる政治を「決めさせない」選択の重要性が述べられています。そして、丸山真男、加藤周一氏らの議論なども引用しつつ、世界から何を受け取り、何を発信するかが広範に考察されています。
 
【書籍情報】2013年5月刊行。樋口陽一著。滑笏g書店発行。本体1500円+税。

 

<法学館憲法研究所事務局から>
 当研究所は今般の改憲の動きに対してDVD「STOP戦争への道」の製作にあたり、普及をすすめています。上記書籍の内容・思いと通じるものだと思われますので、ご案内します。

 

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