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書籍『永続敗戦論―戦後日本の核心』

H・T


 今年も8月15日の「終戦記念日」が近づいて来ました。著者の白井聡氏(社会思想・政治学専攻)は、「終戦」ではなく事実に即して「敗戦」と認識することが不可欠であり、しかも「永続敗戦」であると問題提起して注目されています。単に「戦争が終わった」と表現して敗戦を隠蔽し、天皇制「国体」の下における間違った戦争を検証し反省することを否定しているのではないかということです。国民やアジアの人々に対する戦争責任を果たしていない敗戦状態は今も続いていると述べています(第1の意味での「永続敗戦」)。さらに、アメリカとの間では敗戦の帰結として政治・経済・軍事的な意味での直接的な従属関係が永続化されていることを直視すべきであると述べています(第2の意味での「永続敗戦」)。

 これまでの日本は冷戦構造を幸いにしてアメリカに追随することによって経済的に繁栄し、結果として一応平和な「戦後民主主義」の体裁を取ってきましたが、それでいいのかということです。

 近年、15年戦争に関する政府の歴史認識が中国、韓国、アメリカなどから具体的に問題にされています。関連して領土問題の帰趨如何によっては戦争の可能性もあると危機感を示しています。また、アメリカとの経済関係はTPP問題に端的に現れているように、衰退してきている日本経済は追い打ちをかけられ、従来の互恵的な関係から「収奪」される関係になって来ていると指摘しています。

 著者は、15年戦争や戦後日本の歴史認識について、何となく曖昧のままにしておけることができた時代は終わったと述べています。何となく気付きながらも曖昧のままにしておくと取り返しのつかないことになることは、3.11の原発事故からも学んだことではないか、今は歴史の転換点ではないかという警告には重みがあります。

【書籍情報】
2013年2月刊行。白井聡著。太田出版発行。本体1700円+税。



 

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