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特集「問われる安倍政権の歴史認識」

H・T


 7月の参院選での勝利によって、安倍政権は衆参の「ねじれ」を解消しました。しかし、より深刻な「ねじれ」に直面しています。それは、原発再稼働や憲法9条改定に反対する民意とのねじれと、国際社会とのねじれです。
 戦後の日本にとって、「8月」は、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意」(憲法前文)することを確認する節目として定着してきました。しかし、小泉政権が靖国神社に参拝して以降、日本の8月は不戦の誓いと過去を正当化するナショナリズムとがせめぎ合う季節となっています。安倍首相は15日の全国戦没者追悼式で述べた式辞で昨年までの例を覆して、アジア諸国に対する加害責任に触れず、「不戦の誓い」という表現も使いませんでした。これに対して中韓両国は強く反発しています。アメリカの専門家からは北東アジア地域の緊張を憂慮する声も出ています。

 歴史認識は早急に解決すべき極めて重大な問題であり、安倍政権とこれに対する私たちの姿勢が問われています。本特集は各方面からこの問題を論じています。

 和田春樹氏は「安倍首相にとっての歴史認識問題」と題して、安倍首相が河野談話や村山談話の見直しに取り組んできた経緯を詳細に追っています。日本の新聞ではこの問題の主題が日本の植民地支配に関する認識に関わることを捉えていないという一種のねじれも存在することは私たちが見過ごしやすい問題点でしょう。

 村山談話の作成に関わった元中国大使の谷野作太郎氏は、故加藤周一氏の「"歴史の歪曲"は日中友好関係をもっとも深いところで傷つける。日本人の誇りも傷つけるだろう」という言葉を引用しています。

 ドイツ現代史専攻の佐藤健生氏は、ドイツにおけるナチズムの過去の取り組みは、いまや「国策」と言える領域に達しているが、その原点は市民の運動から発していることを強調しています。1968年当時の「学生反乱」は戦争を遂行した親の世代に対する子供世代の家庭内での反乱でもありました。日本との違いに驚きます。

 教育の分野における安倍政権のタカ派路線は見過ごされがちです。高島伸欣氏は、首相直属の「教育再生実行会議」主導で進められている、道徳教育や教員養成での管理強化、「教科書法(仮称)の制定」の動きに強い警告を発しています。

 他に、「平和国家としての矜持こそ保守せよ」(古賀誠氏)、「国境を越えた被害者の声」(山下明子氏)、「棄民を生み出す国家の論理」(直野章子氏)が掲載されています。

【特集情報】「世界」2013年9月号所収 岩波書店 840円(税込み)



 

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