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講演録・対談録「平和と憲法 −"武力なき平和"のリアリティ」

H・O


 2012年9月15日に法学館憲法研究所が開催したイベントでの、水島朝穂・早大教授(法学館憲法研究所客員研究員)による標題の講演と、その後の浦部法穂・法学館憲法研究所顧問との対談録です。

 水島教授はまず、憲法に「平和」が定められるようになった世界史的な経緯を辿りながら、その中での日本国憲法9条の意義を解明します。その上でリビアへの多国籍軍による軍事介入を例に、「大規模かつ重大な人権侵害」が発生した場合に当該国民を救済するために行われる「人道的介入」などをめぐる動向を示し、日本が憲法9条の立場で武力なき平和を追求する可能性・重要性を指摘します。つづいて、オスプレイ配備など基地問題をめぐって沖縄が「構造的差別」を強いられている状況を克服していく上で、憲法に定められた「地方自治の本旨」にもとづくとりくみの模索とその可能性を示唆します。さらに、自らの利害にもとづいて尖閣諸島問題などを取り扱おうという諸勢力の動きを炙り出しながら、市民レヴェルでは偏狭なナショナリズムに踊らされずに広い視野から冷静に問題に向き合う重要性を唱えます。
 「憲法9条を守っていれば」平和が実現するかのような「憲法への過剰期待」を戒めながら、"武力なき平和"のリアリティを示す水島教授の話は多くのイベント参加者に発想の転換を迫るものとなりました。

 水島教授の講演後の水島・浦部対談はスリリングな内容になりました。浦部顧問は「平和」と「安全保障」、それぞれの概念とその関係について問い、水島教授が整理します。ここで浦部顧問が理論的に深めてきた「人間の安全保障」概念も紹介されます。浦部顧問の「『人権のための軍事介入』にどう向き合うかは非常に難しい」との問いかけによって、水島教授の「武力なき平和」についての「3つの方向性」(平和の根幹治療、担い手・情報に関わる問題)や安全保障に関わる、誰が、何を、何に対して、どのように、どの程度守るか、という「5つの要件」が引き出されます。第二次世界大戦は反ファシズム戦争だという位置づけは歴史学の定説ですが、浦部顧問は帝国主義戦争という側面が大きいのではないか、という深い問いも提起し、それは参加者への強烈な問題提起となりました。

 この講演録・対談録は「法学館憲法研究所報」8号(2013年1月発行)に収載されています。

<法学館憲法研究所事務局から>
 当研究所は「2013年憲法フォーラム」(10月21日、11月11日、12月9日)を開催します。フォーラムでは伊藤真所長および浦部法穂顧問、水島朝穂・早大教授などが参加者の質問・問題提起に回答・コメントし、憲法についての考え方を深めます。多くの方々にご参加いただきたく、ご案内します。



 

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