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論文「集団的自衛権行使の今日的意味」

H・O

 

 「紛争から逃れようとしている、お父さんやお母さんやおじいさんやおばあさん、子どもたちかもしれない。彼らが乗っている米国の船を今、私たちは守ることができない」
 今年5月、安倍首相はパネルを前にこのように語り、だから日本も集団的自衛権を行使できるようにするべきだと国民に訴えました。おそらく、朝鮮半島で武力紛争が起こり、そこに住む日本人を米軍の船が日本に運んでくれる。その船が北朝鮮から攻撃されたら、日本の自衛隊が反撃できるようにしたい、ということではないかと思われます。
 果たしてこれは集団的自衛権の話なのでしょうか。そもそもそういう事態がいつどのように発生するとシミュレーションしているのでしょうか。そのような事態が発生した場合の在外邦人救出方法としては荒唐無稽な想定ではないでしょうか。このようなことを吟味して考えることなく、なんとなく日本人を守るための「限定された」「集団的自衛権」ならばいいのではないか、と国民が思わされる中で、7月1日、集団的自衛権行使容認の閣議決定が強行されました。
 この論文は、集団的自衛権行使ということの意味にについて、それを抽象的にではなく、きわめて具体的な諸事実との関連でリアルにとらえる必要性を説き、警鐘を発するものとなっています。この間安倍首相は日本を守るためには日本と「密接な関係にある国」も守らなければならないと言い、集団的自衛権行使容認を正当化しようとしてきました。しかし、「密接な関係にある国」はまさに米国なのであり、日本が米国を守るという集団的自衛権行使がどういう意味を持つのかは、実際の日米関係、そして日米安保条約に照らして分析されなければならないとし、その運用や歴史・現状を明らかにしています。
 また、地域の安全保障をはかる国際的な動向、その東南アジアにおける動向もリアルに分析しながら、そのような中での日本の集団的自衛権行使容認の負の影響と危険性を明らかにしています。
 政府は来年にこの閣議決定を具体化する法案を国会に提出することにしていますが、日本が米国とともに戦争をする国になっていこうとしている時期にあたり、国際社会と東アジアにおける日本の立ち位置や現状を冷静に、そして適切に見つめ直すことが大事になっていると言えるでしょう。この論文はそのために豊富な情報を提供してくれます。

【論文情報】
「法学館憲法研究所報」11号(2014年7月発行)に収載。筆者は小沢隆一・東京慈恵会医科大教授(憲法学)。


 

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