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書籍『秘密保護法から「戦争する国」へ』

S・K

 

 本書は、2014年7月に開催された民主主義科学者協会法律部会主催のシンポジウム「学生・市民と考える秘密保護法」の内容を編んだもので、特定秘密保護法の問題点が多面的に鋭く検証されています。
 序では、清水雅彦氏(日本体育大学教授)が、特定秘密保護法制定に向けた軍事・警察サイドの要求などを含めた制定の経緯や、立法事実の弱さ、チェック機関、憲法との関係など、特定秘密保護法の問題点を明らかにしています。
 第1章では、渡辺治氏(一橋大学名誉教授)が、戦前からの秘密保護法制との比較により、特定秘密保護法の特質を浮き彫りにしています。また、危険性を倍増させている安倍政権の特異な目的をも明らかにしています。
 渡辺治氏の報告を受けて、永山茂樹氏(東海大学教授)が、国家の軍事化の流れの中で特定秘密保護法を考える重要性を確認し、日米安保との関係性などから、情報面で非軍事化することの必要性を論じています。
 第2章では、右崎正博氏(獨協大学教授)が、比較法的な視点を踏まえて、国民主権・人権保障・平和主義という憲法原理と特定秘密保護法の根本的な矛盾を理論的に指摘し、実質的に憲法を否定する法律であることを明らかにしています。また、施行準備過程の諮問会議、情報監視審査会や第三者チェック機関に関する問題点もツワネ原則などをふまえた指摘がなされています。
 右崎氏の報告に対し、建石真公子氏(法政大学教授)は、国際的な基準の重要性を確認し、ヨーロッパにおける「知る権利」に関する法的保護の基準とツワネ原則について説明がなされ、ツワネ原則が日本においても実施可能である旨の指摘がなされています。
 第3章では、村井敏邦氏(大阪学院大学教授)が、特定秘密保護法の本質が国防だけでなく思想弾圧にあることの指摘をされています。また、特定秘密保護法における罰則規定の構造から、特別刑法(治安立法)としての性格を浮き彫りにしています。特定秘密保護法自体に設けられている共謀罪規定や、今後の共謀罪法の制定に関する懸念などもふまえ、軍事国家への道をたどる危険性とわれわれがすべき対策が示されています。
 村井氏の報告を受けて、葛野尋之氏(一橋大学教授)が、刑事法との関係で、実態的側面からは犯罪構成要件の不明確性・その過度広汎性・処罰範囲の広さ・刑罰の不合理な厳格性という数々の問題点があることの指摘をし、加えて、手続き的側面において、特定秘密の漏えい・取得事件において対象事実が特定秘密に該当するかが争われた場合の立証が外形立証で十分といえるかという問題と、特別措置としての非公開審議への疑義を唱えています。
 第4章では、新屋達之氏(大宮法科大学院大学院教授)が、危機管理国家の形成・確立を目指した刑事法制の変容と、特定秘密保護法の位置づけから、「新時代の刑事司法制度」が対外的国家危機管理、その究極の改憲論を後方から支援するものであることを明らかにしています。 
 第5章では、市民・法律家による運動の展開として、「Stop!秘密保護法共同行動」、「秘密保護法」廃止へ!実行委員会、法律家団体(社会文化法律センター・自由法曹団・青年法律家協会弁護士学者合同部会・日本国際法律家協会・日本反核法律家協会・日本労働弁護団・日弁連憲法問題対策本部・日本民主法律家協会)、「十二・六秘密法国会傍聴者弾圧救援会弁護団」「秘密保護法対策弁護団」「明日の自由を守る若手弁護士の会」の取組みが紹介されています。

【書籍情報】
2014年10月30日、旬報社から刊行。編者は、右崎正博・清水雅彦・豊崎七絵・村井敏邦・ 渡辺治。定価は1300円+税。



 

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