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書籍『憲法九条裁判闘争史』

H・O

 

 砂川事件、恵庭事件、長沼事件、百里基地訴訟の各裁判、自衛隊イラク派兵違憲訴訟という憲法9条に関わる裁判の判決とその意義・問題点、それぞれの裁判での憲法9条を守り活かす立場でのたたかいの経過・教訓を明らかにする書です。名古屋の地で自衛隊イラク派兵違憲訴訟をたたかった弁護団の中谷雄二弁護士・川口創弁護士が、砂川事件、恵庭事件、長沼事件、百里基地訴訟の各裁判をたたかった内藤功弁護士にインタビューしたものです。憲法9条をめぐる論争は戦後日本社会における最大のテーマの一つだと言えるでしょう。それが裁判の場でどのように解釈・判断されてきたのかをトータルに、そしてリアルに明らかにしています。
 砂川事件は米軍基地拡張に反対する人々が基地内に足を踏み入れたとして起訴され刑事事件でした。恵庭事件は騒音被害に怒った牧場主が自衛隊の電話通信線を切断して起訴された刑事事件でした。長沼事件の裁判は自衛隊基地拡張のための政府の施策は違憲だとする行政訴訟でした。百里基地訴訟の裁判は自衛隊基地拡張のための民有地接収をめぐる民事事件でした。いずれの事件の裁判も自衛隊、あるいは日米安保条約をめぐる憲法9条の解釈を問うものとなりましたが、それぞれ事件の発生やその性質は違っていました。それぞれの裁判で弁護団が、依頼者の要求に沿いながら、憲法9条の実現をどのように裁判所に迫ったのかを、内藤弁護士が当時を振り返りながら生々しい証言をしています。そして、それぞれの事件に関わる裁判所の憲法判断を緻密に分析・評価し、そこでの違憲判決などの意義、それをさらに憲法9条を実現する取り組みに活かす課題を提起しています。内藤弁護士はそのような観点からイラク派兵違憲訴訟で違憲判決が勝ち取られた意義についてもコメントし、憲法9条を実現するたたかいの今日的な課題を提起しています。
 内藤弁護士は国会議員として活動した経験も語っており、そこでは、こうした裁判でのたたかいの結果が憲法9条に関わる日本政府の諸施策に大きく影響していくことを示してくれています。
 内藤弁護士の証言には、それぞれの事件における弁護団の気構えや訴訟戦略・戦術、裁判官の姿勢、事件当事者の思いとたたかい、なども散りばめられており、引き寄せられます。内藤弁護士をはじめとする弁護士の裁判でのたたかい方・姿勢に感銘を受けるとともに、国民として憲法九条というものにどう向き合うかを深く考えさせてくれます。
 安倍政権が集団的自衛権行使容認の閣議決定をおこなうという新たな情勢の中で、憲法9条について、その裁判の歴史から学び考えるための書としてお薦めです。

【書籍情報】
2012年、かもがわ出版から刊行。著者は内藤功弁護士。聞き手は中谷雄二弁護士・川口創弁護士。定価は本体3000円+税。

*憲法9条に関わる国民のたたかいの経過と教訓をまとめる、この本の企画を提起した川口創弁護士が当研究所の公開研究会「集団的自衛権の違憲性」(1月31日(土)開催)で講演します。この公開研究会に多くの方々に参加していただき、9条を守り活かす課題をともに考えてみたいと思います。



 

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