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書籍『日本戦後史論』

H・O

 

 こんにちの日本社会の骨格は第二次世界大戦で日本が敗戦したということにもとづいて形づくられました。第二次世界大戦後、日本は連合国、アメリカに占領され、戦争放棄など、新たに制定されることになった日本国憲法の内容にもアメリカは大きな影響を及ぼしました。しかし、東西冷戦が始まり、アメリカはそれに日本を利用する政策に転換していきます。そして日本の支配層はアメリカに協力し、軍の基地まで提供する道を選択していきます。そして、多くの日本人がそれしかないと思い込まされることになっていきました。右翼とされる人々までもがそれに異を唱えない社会になったのです。
 はたしてそれでよかったのか、それしか道はなかったのか、ということを、今あらためて吟味するべき時期を迎えているのだろうと思います。安倍政権が従来の支配層と同様にアメリカに追従する政策を採りつつ、一方で「戦後レジームからの脱却」を唱え、アメリカなどから訝しく(いぶかしく)思われる状況もつくりだされているからです。
 こうした日本戦後史について考えるとき、日本が第二次世界大戦で敗戦したという事実にどう向き合うかは重要なポイントになるでしょう。本書はそのことを『永続敗戦論』で唱えた政治学者・白井聡さんと思想家・内田樹さんとの対談録です(『永続敗戦論』は以前当サイトでも紹介しました。こちら)。内田さんは第二次世界大戦とその後のフランスなどの歴史も辿りながら、国の針路というものがどのように形成されていくのかを分析しています。
 日本はアメリカに媚びることによって生きのびてきましたが、それは戦後の支配層が第二次世界大戦でアメリカに敗北したという事実を受け入れた結果ではなく、彼らは本音ではその事実を真正面から受け入れることは避けてきたのではないか。本書では、こうした日本社会をめぐる問題状況が語られています。刺激を受けます。安倍政権が韓国や中国だけでなくアメリカなどからも懸念されながら、改憲までも実現しようとしているわけですが、改憲を期待する日本人の意識として、日本はいったん破滅した方がよいという感覚があるのではないか、という分析にもハッとさせられます。戦後70年という節目にあたり、時宜を得た書の一つです。

【書籍情報】
2015年2月、徳間書店から刊行。著者は内田樹氏(神戸女学院大学名誉教授。専門はフランス現代思想など)、白井聡氏(京都精華大学講師。専門は政治学・社会思想)。定価は本体1,500円+税。

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