法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

法学館憲法研究所

Mail info@jicl.jp
 
今週の一言
憲法情報Now
 憲法をめぐる動向
 イベント情報
 憲法関連裁判情報
 シネマ・DE・憲法
 憲法関連書籍・論文
 ■今日は何の日?
憲法Voice
研究所・客員研究員紹介
中高生のための憲法教室

憲法文献データベース
日本国憲法全文
リンク集
 
事務局よりお知らせ
賛助会員案内
メールマガジン
ご意見フォーム
サイトマップ

憲法情報Now<憲法関連書籍・論文>

 

書籍『検証・司法の危機1969-72』

S.K.

 

 「司法の危機」といわれる60年代の後半から70年代前半、憲法に忠実であろうとした若手裁判官ら、及びこれを支えた民衆と、憲法を敵視する政治勢力及びこれに「迎合」した最高裁側とが、司法・裁判の独立をめぐって熾烈な攻防を展開しました。
 本書は、当時青年法律家協会本部事務局長であった筆者が、1969年から1972年の4年間の軌跡を、当時のマスコミ関連記事や、国会議事録、弁護士会の実体調査報告、また、後に公にされた裁判官訴追委員会調書や、元最高裁裁判官の「オーラル・ヒストリー」などを調べ上げて真相を明らかにし、検証と総括をしているものです。
 まず、第1章では、右翼・政権与党・財界が、最高裁を巻き込みながら、1959年の砂川事件地裁判決(伊達判決)をはじめ、憲法・人権を尊重した良識ある判決について「偏向判決」というレッテルを貼り、その背後に青年法律家協会加入裁判官がいるという宣伝戦略で護憲派・人権派裁判官を排除してきたことを「伏線」としてまとめています。
 第2章では、長沼ナイキ訴訟の際に、札幌地裁の平賀健太所長が福島重雄裁判長らに国側の主張を認めさせようとした、いわゆる「平賀書簡事件」の真相を明らかにしています。最高裁が平賀所長を全面的に擁護し、青法協加入裁判官の排除へと舵を切った重要な事件であるということで、その経緯が詳しくまとめられています。
 第3章では、青法協加入裁判官や任官志望者に対する常軌を逸した攻撃と、その極みともいえる宮本裁判官の再任拒否事件について検証しています。
 第4章では、執拗な裁判官攻撃に対する裁判官・国民の批判の中で、裁判官全員の再任が決定したその経緯について記しています。
最終章では、国民各層が、司法・裁判の独立と民主主義を守るため、どのような活動を行ったかなどをまとめています。
 いま、司法はまさに当時と同様の方向に向かおうとしているように思います。憲法が危機に直面している今日、「司法の危機」に何がなされたのか知ることは、「憲法が尊重される社会」、「市民のための司法」を実現するために重要ではないでしょうか。

【書籍情報】
日本評論社より2015年3月刊行。著者は鷲野忠雄(弁護士)。定価は、本体2200円+税。

<法学館憲法研究所事務局から>
・当研究所は「司法の危機」に直面しながら毅然と対応した30人の元裁判官の連続講演会を開催し、それが『日本国憲法と裁判官』(守屋克彦著・日本評論社)として出版されています。ご案内します。
・当サイトではこれまで司法に関わる様々な情報を発信してきました。こちら。ご案内します。


 

[今週の一言][憲法情報Now][中高生のための憲法教室][憲法文献データベース][事務局からのお知らせ]
[トップページ]