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書籍『憲法と民主主義の論じ方』

S・K

 この書籍は、衆議院憲法審査会で「安全保障関連法案は憲法違反である」と発言して反対世論を一挙に高めた、憲法学の長谷部恭男教授と、政治学の杉田敦教授のシリーズ対談(朝日新聞2014年1月19日〜2015年11月29日掲載「特定秘密保護法から考える」「論考 長谷部×杉田」)を加筆・再構成したものです。
 第1章では、「必要の前に法なし」「必要性の有無は政治の側が判断する」という姿勢の現政府の間違いを理論的に鋭く斬っていきます。杉田氏は、従来の「右/左」、「保守/革新」ではなく、立憲主義者と非立憲主義者で整理すると、社会の対立軸がくっきりと見えてくること、非立憲主義は最大多数の最大幸福のために少数派や弱者は切り捨てるべきという功利主義と相性が良いことなどを指摘しています。
 第2章では、砂川判決が集団的自衛権行使容認の拠り所となりえないこと、国際法上認められている権利を憲法で日本だけ行使できないとすることに何の矛盾もないこと、安全保障において行使可能な範囲を明確に線引きすることの重要性などがわかりやすく示されています。そもそも政府は自らの結論を国民に押し付けることを「説明」と言っているに過ぎず、国民に説明する気はない。これは代表民主制というシステムを機能不能にする重大な問題であると指摘しています。
 第3章では、民主主義において選挙は何のためにあるのか、民意を反映するためなのか、「誰が決めるのか」を決定するためのものなのか、どこに正当性があるのかなどが深く考察されています。また、憲法の性質上、解釈変更の問題を選挙で問うことはできないと指摘もなされています。
 第4章では、選挙結果などから有権者の意識や有権者が政治に求めているもの、野党に望む役割などが考察されており、低成長時代において政治の消費者を再び主権者に変える可能性にも言及されています。
 第5章では、民主政治のあり方から選挙制度の問題点が考察されています。選挙で圧勝しても最低限守らなければならないルールがあり、カウンターデモクラシーも含めて民主政治であるから選挙至上主義はやめたほうがよいのではないかとも指摘されています。
 第6章では、世界中で凶悪なテロ事件が多発するこの時代に、「積極的平和主義」を掲げる日本がどのように向き合っていけば良いのかが考察されています。
 第7章では、憲法とセキュリティー問題として、集団的自衛権の行使容認など、自衛権をめぐる政府の憲法解釈の問題点がじっくりと考察されています。
 いま日本は政府の暴挙により「国のかたち」を大きく変えられつつあります。私たちはこの時代を生きる主権者として憲法や民主主義のあり方を考え、抵抗の行動を続けていかなければなりません。本書はそのための重要な視点を提示していると思います。

【書籍情報】
2016年1月、朝日新聞出版より発行。著者は長谷部恭男・早稲田大学教授と
杉田敦・法政大学教授。定価は1,300円+税。


 

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