法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

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書籍『18歳からはじめる憲法〔第2版〕』 

M・I

 法学館憲法研究所の客員研究員である水島朝穂早稲田大学教授の改訂新版です。初版刊行時の6年前、18歳を投票権者とするいわゆる国民投票法が施行、そして2015年には18歳選挙権が実現し、この7月には18歳以上が選挙権を行使する参院選が行われます。その意味で時宜にかなった出版と言えます。
 この間、安倍内閣による集団的自衛権の行使を容認する閣議決定、安保法制の成立等々、憲法をめぐる状況に大きな変化が起きています。2015年夏、国会前デモで若者たちは「民主主義ってなんだ」「立憲主義ってなんだ」と問いかけました。本書は、憲法についての知識と問題意識が必要になっている今、まさしく「憲法ってなんだ」という疑問に答えるための一冊と言えます。
 第1章「立憲主義ってなに?」では、「巨大な統治権力に対して、『ここには踏み込むな』という聖域を文章の形であらかじめ明示しておく」ことによって「個人・市民は国家からの自由を確保されるのである」と憲法の必要性を端的に指摘しています。その存在理由は、「人間は過ちをおかす存在」であり、「その人間が担い、動かす国家というものもまた、失敗する。その失敗の可能性を最小化し、失敗からの復元力を最大化しておくために、憲法は存在するということである。」
 第7章「なぜ『9条』は必要なの?」は必読です。そこでは、自衛のための戦争までも放棄した意義を歴史的観点から、「ヒロシマ・ナガサキ」の体験から、立憲主義との関係から論じています。そして自衛隊という現実、集団的自衛権行使容認の「安保法制」を論じ、2015年夏の国会前で18歳をはじめ多くの個人が声をあげた点を捉え、「9条が現実政治に及ぼす影響は実に多様かつ多彩であり、そのもつ活力をもっと動態的に、奥深く考える必要があるだろう」と結びます。
 人権論では第18章「表現の自由と国際人権条約」が、ヘイトスピーチを考える契機になり、第22章「生存権」は、ネットカフェ難民や下流老人問題を、第28章「参政権」では外国人参政権を考えるヒントとなるでしょう。
 統治機構論では第37章「地方自治の可能性」が秀逸です。「沖縄が問い続ける現実」という副題の下、名護市民投票の実例から説き起こし、「地方自治の本旨」は、地域レベルにおける直接民主制的契機の導入に対して開放的・親和的に働くものと位置付け、住民投票の新しい可能性を探ります。また、「安全保障はもはや国の専権事項ではない」と喝破し、将来的に「東アジア共同体」のようなものが形成された場合、その地域間の調整・解決の担い手としての自治体に言及します。そして言うまでもなく辺野古基地移転問題も採り上げています。
 教科書的記述と言うよりも、さまざまな「現場」や「時代」の呼吸を反映した「旬」の記述横溢の本書は、18歳からという年齢をターゲットにしなくても、広く一般の憲法入門書として平易で読みやすい教養書と言えます。

【書籍情報】
2016年5月に法律文化社より発行。著者は水島朝穂早稲田大学教授。定価は2200円+税。

【関連書籍】
水島朝穂『ライブ講義 徹底分析!集団的自衛権』(岩波書店)

水島朝穂『はじめての憲法教室—立憲主義の基本から考える』(集英社新書)

<法学館憲法研究所事務局から>
・この書籍の著者の水島朝穂教授は以前当サイトで「今週の一言」にもご寄稿いただいています。


 


 

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