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書籍『一度は行ってみたい人の「国会前」練習帳』 

M・I

 あの夏から、もう1年が経ってしまいました。安保法制に反対する人々が連日国会を取り巻いた2015年8月、著者である元朝日新聞記者のブログ「デモ、デモ、でも…」から生まれた一冊です。ブログの前書きに「デモや集会に参加してみて、気づいたことがいろいろあります。これはその素朴な報告です。デモや集会はちょっと…と考えている方に読んでいただけたら、と立ち上げました」とあるように、デモの実況中継にして、会社帰りや東京観光の折に参加できる実践的情報満載の"日本初のデモガイド"です。
 ページを開いて驚くのは、まず多彩なデモの現場写真の数々です。ほぼ数ページごとに文章に組み込まれるように掲載されているため、臨場感に溢れた作りとなっています。冒頭から「デモで役立つ国会周辺マップ」や「定番デモコース」などの絵地図があり、随所に「東京のオシャレエリアを横断する青山〜表参道デモコース」や「銀ブラならぬ銀デモコース」などの楽しい絵地図があります。
 第1章「フツーの人がデモをした!」では、8月2日(日)「高校生がデモをした!」から始まります。LINEなどの呼びかけで生まれたT-ns SOWL(ティーンズ・ソウル)主催のデモです。各地で出来た「安保関連法案に反対するママの会」の記事もあります。横断幕の言葉はひとつだけ。「だれの子どももころさせない。」いいスローガンです。デモは、大学生中心のSEALDsだけでなく、ミドルズ、オールズと広がり、巣鴨駅前では毎週土曜日、地元の60歳以上のグループOLDsがスタンディングをするようになりました。
 第2章「100万人が集まった!」では8月23日(日)のデモの様子がたくさんの写真とともに報告されています。参加した高校2年生の言葉です。「僕たちが抗議の声を上げたところで、何も変わらないという声もよく聞きます。しかし、この活動を通して、それが間違いだとはっきりわかりました。」「僕たち一人ひとりが、信念をもって声を上げ続ければ、絶対、確実に変わるんです。僕たちは微力ではあるけれど、無力ではないからです。」「この活動は自分たちの未来のためです。自分たちの未来を、自分たちで守れるようにみんなで力を合わせましょう。」
 そして8月30日(日)の「国会10万人・全国100万人大行動」となります。国会前の大群衆の写真は迫力があります。国会前が「解放区」になりました。
 第3章「声を上げる、上げ続ける」は、大学教授、元内閣法制局長官、政治家、評論家等々の生録スピーチの数々が読ませます。9月11日(金)の国会前での山口二郎法政大学教授のスピーチです。「民主主義は国会議事堂の中だけにあるのではありません。人がいれば、そこに民主主義があるんです。安倍首相以下、政府与党は民主主義を軽蔑し、あらゆる信義を冷笑し、いまや議事堂の中の民主主義は空洞化し、崩壊している。いま、我々市民が外側で民主主義を守るしかない。それは主権者としての責務であります。」
 第4章「憲法が破れた」では、「憲法が破れた。2015年9月19日午前2時18分、参議院本会議で安保法案が可決、成立しました」の一文がすべてです。安保法案が成立した未明に国会正面前でのSEALDsの奥田愛基さんの言葉が、あの夏の市民運動の真髄だと筆者は言います。「団体とか、SEALDsだとか、どうでもいいんですよ。おかしいと思っているから、みんなここに来ているんだ。どこのだれだかわからないままでここで声上げて、また来るんですよ。それでいいじゃないですか。俺たち一人ひとりが判断して、行動するだけです。」
 あの夏の日のコールが遠い喧騒のように聞こえてくる一冊です。

【書籍情報】
2016年5月に三五館より発行。著者は白井健。定価は1,000円+税。

【関連書籍】
長谷部恭男編『安保法制から考える憲法と立憲主義・民主主義』(有斐閣)
山口二郎著『民主主義をどうしますか。』 (七つ森書館)







 

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