法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

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書籍『憲法って、どこにあるの? みんなの疑問から学ぶ日本国憲法』 

M・I

 著者の谷口真由美大阪国際大学准教授は、大阪弁でジェンダーや人権を語る「全日本おばちゃん党」代表代行として、新聞やテレビで見かけます。
 本書は、著者が講義や講演などの機会に出席した様々な世代、職業の方々の疑問や質問に答えるという形式を取り、憲法に縁のなかった人にも憲法を考えるきっかけを与える一冊となっています。
 第1章「憲法って何?」の最初の「みんなの疑問」は「いまの憲法って、いつ、誰が作ったの?(女子 中学生)」です。著者は、ポツダム宣言から日本国憲法成立までの流れを平易に語り、最後に「真由美のひとこと」でまとめます。「『日本国憲法』はGHQに手助けしてもらってようやくできた日本製。『押し付け論』なんて、70年も前のお見合いは正しかったかどうかを論じるような後ろ向きな話の必要はなし!」
 第2章「暮らしの中の憲法」の疑問「政治も多数決で決まるの?(女子 小学5年生)」に対しては、小学校で学芸会の出し物に何をやるか決めるクラス討論を例に挙げます。民主主義の説明が秀逸です。「このように、一度決まったことでも、決まったことに違和感を覚える人の意見に耳を傾けてみたところ、それももっともだと思う人が増えて、多数決で決まったことがひっくり変えることがあります。これこそが民主主義なのです。」そして「真由美のひとこと」です。「学級会と同じで、政治も最後は多数決で決まりますねん。でも、『小さな声を無視しないこと』と、『考え直すこと』がとても大切なところですねん。」
 やはり著者の専門のジェンダーに関する第3章「男と女の憲法」が読ませます。「お嫁にいったら、その家の人になるの?(20代女性 アルバイト)」では、今でも生き続けている「家」制度を語り、「●なぜ女性が男性の姓を名乗るのでしょうか?●男性はなぜ女性の姓を名乗らないのでしょうか?男性が姓を変えるのは『養子に入る』ときくらいですよね。●『夫と妻のそれぞれの姓』という、選択的夫婦別姓制度はどうして認めてもらえないのでしょうか?」と問題提起をします。「真由美のひとこと」は「『家』ってなんでしょうね?女偏に家と書いて『嫁』ですが、憲法にも民法にも『家』はもう出てこないんですけどねぇ。」
 疑問はその他に「どうして同性だと結婚できないの?(20代男子 大学生)」「チカンが怖くて、毎日ビクビクしながら電車に乗っています。狙われやすい私がいけないのでしょうか(10代女子 高校生)」「パートに出たいのですが、主人に『お前なんか無理』と言われてしまいました。(30代女性 主婦)」「戸籍のない人がいるのはどうしてですか?(40代男性 会社員)」など身近にあるものばかりです。著者はもちろん女性の視点で、性的マイノリティの人権や、モラハラ・DV、再婚禁止期間などを解説しています。
 最後の第4章「世界と日本と憲法」では、個別的自衛権と集団的自衛権など安保法制を語り、集団的自衛権としばしば混同される集団安全保障について的確に説明しています。「真由美のひとこと」では、前者は「言ってみれば、タイマンのケンカとヤンキーのケンカくらい違いますねん」となり、後者は「簡単に言えば、クラスの乱暴な友だちを学級会で何とかせなあかん、という方法です」と爆笑コメントとなります。このあたり、著者が学生の投票で選ばれる"ベストティーチャー賞"こと「共通教育賞」を4度も受賞した面目躍如たるものがあります。
 最後に本書タイトルの答えです。「私たちの普段の生活」にある、がその答えです。

【書籍情報】
2016年6月に集英社より発行。著者は谷口真由美大阪国際大学准教授。定価は1,300円+税。

【関連書籍】
明日の自由を守る若手弁護士の会『憲法カフェへようこそ』(かもがわ出版)

<法学館憲法研究所事務局から>
・この書籍の著者の谷口真由美さんは以前当サイトで「今週の一言」にもご寄稿いただいています。







 

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