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書籍『追及!安倍自民党・内閣と小池都知事の「政治とカネ」疑惑』

M.I

 一読慨嘆か一読憤然かは、読書時の読者の体調・機嫌次第でしょう。筆者は「政治とカネ」追及の第一人者にして、名うてのオンブズマンとしても知られる上脇博之神戸学院大学教授です。
 第1章「安倍自公与党が推薦した舛添前都知事の公費・政治資金問題」では、今年の前半にマスコミで次々と報じられた舛添要一都知事(当時)の不祥事が微に入り細にわたり描かれます。読者にもおなじみになった高額な海外視察や公用車問題、家族旅行や美術品などへの政治資金の私物化等々です。筆者は5月に舛添知事らを政治資金規正法違反(虚偽記載罪)と業務上横領罪の容疑で刑事告発しています。
 第2章「自民党の小池百合子・新都知事の政治資金問題」では、都知事選でマスコミが触れなかった小池候補(当時)の実態が暴かれています。一般には自民党都連の推薦を得られなかった小池候補が一人で戦ったイメージですが、その実、自民党豊島区議や練馬区議との政治資金のやり取りや、自民党本部からの交付金、企業や業界団体の政治資金パーティ収入などがあったのです。更に舛添前都知事同様の、セコイ支出など政治資金規正法違反や公選法違反の疑いがある政治資金問題が指摘されます。
 第3章「甘利明元経済再生担当大臣の口利き・タカり事件」では、筆者らがあっせん利得処罰法違反と政治資金規正法違反容疑で刑事告発した事件が詳細かつ具体的に描かれます。普通の市民感覚では、どう考えてもこれぞ「あっせん利得処罰法違反」と言える事件を東京地検特捜部は不起訴処分とします。かつて政界に切り込んだ特捜検察も遠い昔話となってしまいました。
 以下、第4章「安倍内閣の閣僚・元閣僚らの政治資金問題」、第5章「下村博文元大臣と加藤勝信大臣らの無届け政治団体問題」、第6章「自民党本部・支部の『政策活動費』名目等の使途不明金」と絨毯爆撃のように「政治とカネ」の大追及は続きます。
 そこで終章「『政治とカネ』に関する改革案」です。まず「保守政党のバブル状態の収入とその見直しの必要性」が指摘されます。荒井聡元国家戦略相が政治資金でキャミソールを購入したり、小渕優子元経産相が下仁田ネギやベビー服の代金にも支出した政治資金こそ改めねばなりません。その元凶が税金から支給される政党交付金です。まず、政党交付金には使途が制限されていません。次に景気が悪化し、国の財政も悪化している現在も、交付金は「バブル経済」時代のままの潤沢さです。更に交付金と企業献金との二重取りが続けられているのです。豊富な資金が黙っていても転がり込んでくるのですから、この政治資金の私物化も予想が付きます。
 そこで第一の改革です。甘利明前大臣の口利き事件が教示しているように政治腐敗の温床になってきた企業献金の一日も早い全面禁止です。また、第二の改革として、税金が原資の政党助成制度の即刻廃止です。「企業献金も政党助成金も、それらを受け取る政党を主権者国民から乖離させてしまうので、国民主権と議会制民主主義を実現するためにも、企業献金の全面禁止と政党助成金の廃止は、ぜひとも実現すべきです。」「もちろん民意を歪曲し国民主権と議会制民主主義の実現を妨げている、衆議院の小選挙区選挙と参議院の選挙区選挙は廃止し、無所属も立候補できる完全比例代表制に改革すべきです。」問題の本質を衝く根源的な提案で、このあたり読み応えがあります。
 もっとも自民党などの金権政党は大反対でしょうから、筆者は「政党交付金の次善改革」も提案します。それは「政党助成のための投票制度」や政党交付金の透明化、虚偽記載へのペナルティ等々です。まずは次善策からでも一歩一歩実現させるため、市民は声を上げ、マスコミもキャンペーンをすべきでしょう。
 なお、本書では、事件の契機として「週刊文春」のスクープが目立ちます。一部で「文春砲」とまで言われる所以ですが、最近調査報道ではめっきり影が薄くなった新聞各紙の発奮を待ちたいものです。

【書籍情報】
2016年10月に日本機関紙出版センターより発行。著者は上脇博之・神戸学院大学教授。定価は1200円+税。

【関連書籍】

上脇博之『告発! 政治とカネ』(かもがわ出版)
上脇博之『誰も言わない 政党助成金の闇―「政治とカネ」の本質に迫る』(日本機関紙出版センター)
上脇博之『財界主権国家・ニッポン 買収政治の構図に迫る』(日本機関紙出版センター)









 

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