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緊急特集『「共謀罪」法案を廃案に!』

M.I

 参議院の法務委員会採決を「中間報告」という奇策ですり抜け、「共謀罪」法案が自民、公明両党と日本維新の会などの賛成多数で成立しました。しかし、これで終わったわけではありません。今こそ市民は、政府のどんな小さな人権侵害にも目を光らせ、これを監視していかなければなりません。また反対した野党は、今度は法律廃止に向けた新たな活動を開始しなければなりません。
 本特集は、今一度「共謀罪」法案にどのような問題点があったのかを確認し、共謀罪を廃止させる運動の最初の一歩になる特集と言えます。
 松宮孝明・立命館大学教授は「一般人は明確な処罰対象—『共謀罪』法案の解説」と題する論文です。刑法学者の松宮教授は、法案の条文一つ一つを解釈していきます。例えば「組織的犯罪集団」の定義でも、その「組織性」は明確ではありません。確かに法務大臣も、当初は合法的な目的でも「その性質が一変した」ときは「組織的犯罪集団」になると答弁していますし、法務副大臣は、一般人にも適用があることを認め、さらに「嫌疑をもたれた段階で一般人ではない」とまで答弁しています。結局、共謀罪の主体は団体ではなく、個人であることが明らかになります。
 戒能通厚・早稲田大学・名古屋大学名誉教授は「コンスピラシー(共謀罪)の源流と人権侵害の危険性」で、英米法研究者としてイギリスの共謀罪を論じています。共謀罪は英米法系の国の法律で、日本やドイツなどの大陸法系の国にはないことは、よく知られています。戒能教授は、コンスピラシーが絶対王政期のチューダー朝で専断的権力を振るった「星室裁判所」で多用された法理であるという起源から説き起こします。コンスピラシーは、労働組合や農民運動の弾圧を始め、広く言論・思想の弾圧の手段として猛威を発揮したことが明らかにされます。その一例として、かのジョン・ロックは『統治二論』の著者が自分であると生涯明かすことがなかったことが紹介されます。労働者の団結それ自体が処罰された歴史は長く続き、労働組合の弾圧が止むのは20世紀になってからでした。罪刑法定主義の大陸法系とは、歴史が大きく異なっていたことがわかる論文です。
 特集は「野党議員の声—私たちはなぜ反対する」で締めくくられます。発言者は、民進党の逢坂誠二議員、日本共産党の藤野保史議員、沖縄の風の糸数慶子議員、社会民主党の福島みずほ議員の4名です。この決意を法律廃止に向けて、更なる活動を展開してほしいものです。

【書籍情報】
日本民主法律家協会が発行する雑誌『法と民主主義』2017年5月号の特集。定価は1000円+税。

【関連書籍・論文】
山下幸夫編著『「共謀罪」なんていらない?!』(合同出版)






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