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書籍『憲法の良識「国のかたち」を壊さない仕組み』

S.K

 近年、「九条があるから、自衛隊が憲法違反とされて武力が使えない、武力を使えなければテロリストや北朝鮮などの脅威から国民の生命と財産を守ることができない、だから九条の定める「戦力不保持」と「交戦権の否認」をなくそう」、「自衛隊の存在をはっきり憲法に書いて、自衛隊の人たちに誇りをもって仕事をしてもらいたい」このような憲法に関する見当違いの議論がはびこっています。
 本書では、2015年の衆議院憲法審査会で自民党や公明党の推薦でありながら安保法案を「憲法違反」と発言し、物議をかもしたことでも知られる長谷部恭男早稲田大学教授が、いま憲法を書き換えようとしている人たちの主張を平易な言葉で斬っていきます。
 憲法や法律の専門知識がなくても、いま安倍改憲を推進しようとしている人たちの主張が、憲法を書き換える理由になっていないこと、まっとうな憲法論でも法律論でもないことがよくわかります。さらに本書では、憲法とはなにか、立憲主義の意味、平和主義や民主主義の本質、緊急事態条項の危険性など、「国のかたち」の骨格ともいえる重要テーマについて、わかりやすいたとえで語られています。
 長谷部教授は、憲法九条に関して従来の政府見解を支持しており、7.1閣議決定前の自衛隊は合憲であったという立場です。ですから、純粋なパシフィズム(平和主義)を憲法原理としてそのまま実践するべきだという考え方に対しては、この世の中には、人としていかに生きるべきか、ということを中心とする人生観・世界観がさまざまにあるのだから、多様な価値観があることを事実として認めたうえでその公平な共存をはかろうという近代立憲主義の考え方に反すると批判的です。
 また、自衛隊のできることを「ポジティブリスト」として書き込もうという主張に対しても、「限定列挙」のつもりで提案しているかもしれないが、柔軟に変更できない憲法に埋め込んでしまうことで、かえって拡大解釈で対応しなければならないリスクが拡大してしまうと警鐘を鳴らしています。
 自衛隊違憲論と立場は異にしていますが、改憲をめぐりまっとうな憲法議論をするためにも、多くの人々に読んでいただき、"憲法改悪につながる安倍改憲は断固阻止!"という一点で一致団結していく足がかりにしていきたい一冊です。
 
【書籍情報】2018年4月に朝日新書として刊行。著者は長谷部恭男。定価は720円+税

【関連書籍・論文・HP】
  書籍『憲法と民主主義の論じ方』
  書籍『検証・安保法制 −どこが憲法違反か』
  書籍『安保法制から考える憲法と立憲主義・民主主義』




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