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書籍『広告が憲法を殺す日 国民投票とプロパガンダCM』

S.K

 本書は、元博報堂社員で広告業界の裏を知り尽くす本間龍氏と、政策秘書として国民投票法(民主党案)の起草に携わった南部義典氏が、巨大資本がもたらす「狂乱」をシミュレートしつつ国民投票法の致命的な欠陥に警鐘を鳴らし、海外の参考にすべき国民投票制度なども紹介し、法的に望ましい規制のあり方の提言をしています。
現行の国民投票法には、投票日の14日から賛成・反対の投票を呼びかけるテレビCMの放送が禁止されるだけで、それ以外、全国民投票運動期間中の「キャンペーン資金」や「広告」に関する規制は一切ありません。資金さえあれば、ネットを含め、あらゆるメディアでの広告宣伝活動が自由にできるので、改憲キャンペーンに注がれる「資金力」と「広告力」で国民投票の結果が左右されてしまう可能性は極めて深刻です。
 巨額の政党交付金の他、潤沢な資金パイプをもつ改憲賛成派が圧倒的に優位に立つのは明らかです。本間氏によると、世界最大の広告代理店である電通と自民党との繋がりは古く、このまま国民投票となれば、電通は豊富な資金と賛成派だけが持つ「発議スケジュール」によって、あらゆるメディアの優良広告枠を事前に買占め、改憲反対派の広告がほとんど目につかない状況を作り出すことが可能となると指摘しています。
 本書は2人の対談で進められていますが、第1章では南部氏が現行の「国民投票法」について、その中身や立法理念を語り、第2章で、本間氏が日本の広告業界の実態と、70年に及ぶ自民党と広告代理店の関係が解説します。それを踏まえ、第3、4章では、このまま国民投票が行われた場合の具体的な状況がシミュレートされ、第5、6章で、海外の国民投票制度との比較、日本の国民投票制度の改善案の提示がなされるという構成になっています。
 広告規制の不十分さをなんとなく危惧している方は多いと思いますが、業界における電通の影響力や「国民投票大特需」に大きな期待を寄せる広告業界の実情などが詳しく語られており、シミュレートされた改憲反対派の為す術もない状況には説得力があります。
 それでも、南部氏は、私たちには国民投票法を再検証し、公正なルールづくりを行う時間と余裕が十分残されていると言います。いま自民党が進めようとしている憲法改正の発議を阻止すると同時に、改憲反対派も早い段階で広告戦略を練りつつ、早急に国民投票法の改正の議論をすすめる必要性を痛感する一冊です。

【書籍情報】2018年4月に集英社新書より刊行。著者は本間龍、南部義典。定価は720円+税

【関連書籍・論文・HP】
   ブックレット『メディアに操作される憲法改正国民投票』
   マガジン9 立憲政治の道しるべ(南部義典)
   マガジン9 南部さんの国民投票法講座
   




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