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書籍『女子高生が憲法学者小林節に聞いてみた。「憲法ってナニ!?」』

S.K

 本書は、改憲派の論客として知られてきた小林節氏(慶應大学名誉教授)が、女子高校の社会科教諭から送られてきた「憲法」に関するアンケートをもとに、今の高校生が抱いている憲法についての率直な疑問に答える一冊です。小林氏は、憲法というのは不磨の大典ではなく時代の産物だから時代の変化に応じて改正していっていいものだという立場ですが、いま進められようとしている改憲については痛烈に批判しています。
 第1章では、まず「憲法ってどんなものでもいいのですか?」という問いに対し、自民党の改憲草案などをあげつつ、近現代の立憲主義を非常にわかりやすく解説しています。また、法律と憲法の違いや憲法解釈の限界、「前文」が各条文の解釈の指針になることなどについても2015年の解釈改憲を批判しながらわかりやすく説明しています。
 第2章では、「日本は外国から攻められたら何もできないのですか?」という問いに、2015年までの政府の公式見解や国際法の原則を説明した上で、「冷静に考えたら北朝鮮は戦争するはずがないんです。北朝鮮の目的は日本にミサイルを撃ち込んでアメリカに滅ぼされることじゃないわけです。」と述べ、中国については、ウイグルやチベットを例に「非武装だと攻めてきます。」「間違ってもチョッカイを出されないように「手を出したら怖いですよ」と、日本の経済力・技術力・人間力に照らした一流の防衛システム。そして間違っても外へ出ない防衛システムをつくること」が重要で、「従来の専守防衛に集中することの方が得策だ」と述べています。
 第3章では、「参議院のあり方を見直すべきでは」との問いから、二院制の意味や現在党議拘束により二院制が形骸化してしまっていることなどを丁寧に説明し、アメリカを例にあげつつ憲法を改正して参議院を地方代表院とする提案はあり得ると述べています。また、解散権については、「本来解散というのは、内閣と国会の意見が違って政治が動かなくなったときにそれを民意に問うという機能のものであるはず」で、2017年10月の解散は違憲な権力行使と言いうるとし、解散の根拠や限界は憲法典に入れたほうが良いと指摘しています。
 第4章では、議院内閣制と大統領制の違いを解説し、日本の文化、歴史、国民性から日本人には大統領制より議院内閣制の方が向いていると言われていると紹介しています。
 第5章では、象徴天皇と女性天皇について説明しています。象徴天皇については、2千年の歴史からみると、「ピュアに国民統合の象徴たらんとした、ああいう非常に善き人間性の見える天皇制というのは、案外に本来の天皇制だと思う」と述べています。女性天皇については、天皇の座をめぐる男の争いが起こらないようにし、最上位の地位を安定させるという意味では、天皇家の男性が女性に産ませた男以外は天皇になれない「万世一系」はいい考えだと思うとしたうえで、絶対に「どうでなきゃいかん」というものではなく、国民の多数の意思で決めればよいと述べています。
 第6章では、人権の定義と分類を解説した上で、部落差別、同性婚、表現の自由とヘイトスピーチ、知る権利と情報公開、死刑制度などをどのように考えるかがわかりやすく語られています
 第7章では、いまの憲法は義務規定が少なすぎるという意見に対し、憲法の本質から義務規定は少なくて当たり前であり、国民主権となった以上、三大義務は国家のいわば基本部品として書かざるを得ないことと説明しています。
 第8章では、法の支配と法治主義が解説されています。ここでは、憲法9条違反の戦争法、憲法13条違反の共謀罪など、権力者が憲法を犯した時に、裁判所が違憲判決を下すことによって憲法のほつれを直すのが「法の支配」と説明されています。また、「どうして政治家のワイロはなくならないの?」という問いに対する答えの中で、森友学園や加計学園の例を挙げて法治国家の中に人治政治が生まれてしまっている重大な憲法問題だと批判しています。
 第9章では、「緊急事態条項」「9条の自衛隊加憲」、自民党改憲草案の「表現の自由」、「憲法尊重擁護義務」の改悪について、その狙いや危険性を鋭く批判しています。またこの章では、法律事項である「教育無償化」の加憲を言い出した背景についても語られています。

【書籍情報】2018年5月に株式会社ベストブックから刊行。著者は小林節。定価は1100円+税。

【関連書籍・論文・HP】
  書籍『「憲法改正」の真実』 
  書籍『自民党憲法改正草案にダメ出し食らわす!』
  書籍『赤ペンチェック 自民党憲法改正草案』




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