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憲法情報Now<憲法関連裁判情報>

 

中国「残留孤児」訴訟――(1)中国「残留孤児」訴訟とは

I.M.記

 いま、中国残留孤児訴訟が東京地方裁判所に係属しています。この訴訟は、第二次大戦後に、中国に残留せざるを得なかった孤児の人たちが、日本政府を被告として損害賠償を請求したものです。原告は、以下の理由などから、政府が孤児の人たちの「普通の日本人として人間らしく生きる」という基本的な権利を侵害していると主張しています。

(1) 政府が戦後に中国にいた住民らを「棄民」したこと
(2) 孤児らの存在を認識していたにもかかわらず、1959年に「戦時死亡宣告」制度によって、孤児らに「法的死亡宣告」をしたこと
(3) 帰国後も孤児らに生活支援対策を十分に果たしてこなかったこと

 以上の主張に対して、被告・国は、提訴自体が失当であり、事実を認否する必要性はないとしています。

 この訴訟は、2002年12月の一次・二次同時提訴の段階から、原告が637人(そのうち一次原告40人)もいます。こうした大原告団が、提訴時から組織されているのは、全国的にも珍しいことです。原告弁護団も、東京や近県から約150人の体制となっており、弁護士1年目の若手も活躍しています。今後、裁判は、北海道や名古屋、京都、広島、福岡などでも提訴される方針で、その準備が進められています。

 この間、残留孤児の存在は知られていましたが、「過去の問題」あるいは「テレビニュースのなかの問題」以上にはなかなか認識されてこなかったように思われます。テレビなどでも取りあげられてきましたが、孤児の生活や置かれた状況については、なお多くが知らされていない現状といえます。

 第1回口頭弁論(2003年4月18日)では、原告の方が、「戦争のため、幼くして中国に取り残され、長い間帰ってこられなかった私たちの不幸は、私たちの責任でしょうか。日本語ができないことは、私たちが悪いのでしょうか。どうか、裁判で日本政府の責任を認めて、『孤児』たちが、せめて祖国での老後を、『普通の日本人として、人間らしく』生きることができるようにして下さい。私たちの思いを、どうか受け止めて下さい」と意見陳述しました。原告の人たちの想いを凝縮したものといえるでしょう。公判後の報告集会で、この方が、「法廷でやっと陳述することができ、日本人として裁判を受ける権利を行使できたことを嬉しく思う」と明るく発言していたのが印象的でした。

訴訟資料(PDFデータ)

 

(法学館LawJournal2003年6月26日配信号より転載)

 

 
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