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憲法情報Now<憲法関連裁判情報>

 

ハンセン病国賠訴訟(6) ソロクトでの被害とは2

I・M記

 今回は、前回に引き続き、ソロクト訴訟で問われている被害実態についてご紹介します。前回は、労働の強制や懲戒、断種・中絶についてとりあげましたが、今回は医療やその他の権利侵害についてとりあげます。

医療
 ソロクトの更生園では、療養所というにはあまりにも悪環境の施設だったといわれています。ハンセン病とされた人は強制入所を余儀なくされたうえ、入所者には様々な労働が課せられる一方、医療体制は貧困なものであり、入所者数に対して、医療従事者の人数は極めて少なく、十分な医療が施されていなかったのです。
 具体的には、更生園においては、入所者に支給されるのはごく少ない量の穀物だけであり、入所者は常に飢餓状態にあったといわれています。また、衣服についても、汚れの目立たない鼠色の服が支給されただけで、気候の移り変わりなどは配慮されていなかったといわれています。

その他の権利侵害
 更生園においては、日本による朝鮮半島の植民地支配という状況ともあいまって、日本国内の療養所とも異なる民族性の否定とも結びついた数々の人権侵害がありました。
 たとえば、入所者の信仰の如何にかかわらず、日本の国家神道の神社への参拝が強制され、従わない人たちは懲戒の対象となりました。とくに、第4代園長であった周防正季園長時代には、園長自身の銅像が入所者の作業によって作られ、この銅像への参拝も強要されていました。
 また、更生園では、服装や習慣などについて日本的なものが強要され、朝鮮式のもの、民族的なものは認められていませんでした。上述した服装についても、民族的なものは禁止され、鼠色の服が支給されましたが、これは朝鮮半島で国民的に好まれている白色についての禁止を意味していました。
 さらに、韓国においては土葬が一般的であり、火葬すると魂が失われると広く考えられていましたが、入所者は、全員死去すると日本国内のハンセン病患者と同様に火葬に付されました。このことは、ハンセン病が恐ろしい伝染病であるという意識をその後の国民に植え付けることにつながり、ハンセン病に対する根強い偏見へと結びついたと指摘されています。
 加えて、更生園では、入所者に対する薬剤の試験的使用なども行われていました。このために入所者が死亡したという例も残っています。入所者の権利や自由が完全に抑圧されていた下で、人体実験として入所者の人たちが「利用」されていたのです。

 前回と今回でとりあげた被害については、今後、裁判の進行にあわせて、法廷においてもさらに立証が具体的になされていくものばかりです。
 興味のある方は、ぜひ一度法廷に傍聴に行かれることをお勧めします。

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