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憲法情報Now<憲法関連裁判情報>

 

日の丸・君が代訴訟(4)─学校でのビラ配布

T・O記

卒業式のシーズンを迎え、「君が代」斉唱時の起立/不起立をめぐる問題が再燃しています。こうした中、東京都教育委員会は、学校で「君が代」に関するビラを配布している者がいれば、警察に通報するよう、各学校に指示をしたそうです。この指示をきっかけに、新たな事件が起きています。

2月24日、江戸川区にある篠崎高校前で、法政大学生がビラを配っていたという理由から、篠崎高校長が警察に通報しました。校長は、「予備校のビラはいいが、卒業式に関わるものなので自分の責任で警察を呼んだ」と言っているそうです。このほか、高島、石神井、深沢、砧工業、都立大付属、目黒、芝商、拝島、千歳が丘高校等でも警察が来たそうです。

さらに3月4日、町田市の都立野津田高校の敷地で卒業式の前に、「日の丸・君が代」に反対するビラを配っていたところ、建造物侵入の疑いで、男性二人が逮捕されました。この事件については、勾留請求が却下されました。検察官は準抗告をしましたが、これも認められず、6日に二人は釈放されました。なお、彼らは敷地内でビラを配っていたと報道されていますが、正門の外のバスのロータリー周辺で生徒や父母にビラを配っていたそうです。もしロータリーも高校の敷地内だとすると、ここのバス停の利用者はみな建造物侵入罪に問われることになります。実際、裁判所は、次のように述べて、勾留請求を棄却しています。「本件被疑事実の要旨は、…ビラを配布する目的で、東京都立野津田高等学校の敷地内に立ち入り、もって、正当な理由がないのに人の看守する建造物に侵入したというものである。しかしながら、一件記録によれば、被疑者らが立ち入った上記高等学校の敷地部分は、同高等学校の門塀等物的囲障設備の外側に存在する土地であり、これを建造物侵入罪の客体である『建造物の囲繞地』と評価することは困難である。被疑者らが同高等学校関係者から敷地の外との境界線を示されて注意を受けたにもかかわらず敷地内に立ち入ったこと等、検察官主張の事情を考慮してもなお、同敷地部分が軽犯罪法1条32号にいう『入ることを禁じた場所』に当たるか否かはともかく、上記の結論は左右されないというべきである。」

また3月8日には、農産高校の卒業式の日に、ビラ配布をしていた人が逮捕されました。被逮捕者は、翌9日に釈放されていますが、この逮捕についても、敷地内でビラ配布をしていたわけではなく、校門の外で行っていたそうです。(http://www2u.biglobe.ne.jp/~hyakuman/

立川反戦ビラ事件において、東京地裁が、ビラの配布は表現の自由の一形態であり、「民主主義社会の根幹」であると述べたように、ビラ配布は表現の自由の行使の一形態として、憲法21条の保障を受けます。また、ビラ配布は生徒や保護者の知る権利にも資するものです。ビラ配布が平穏な形で行われている限り、警察がやってきて威嚇したり、ましてや逮捕したりすることは、あきらかに表現の自由に対する侵害です。警察や学校長には、ビラ配布が「民主主義社会の根幹」であるという判決を、重く受け止めてほしいと思います。

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