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憲法情報Now<憲法関連裁判情報>

 

「一人一票」実現・憲法訴訟で7つの違憲判決!

川口創(弁護士)

名古屋第一法律事務所ニュース(2010年8月号)に掲載されたものを同事務所のご了解を得て紹介します。

(法学館憲法研究所事務局)

◆「一人一票」は民主主義の基本
 「選挙権」は「民主主義」社会を支える重要な権利であり、「有権者が等しく1票を持つ」ということが大前提です。しかし、「衆議院で3倍以上」に限って違憲との最高裁判決のために「一票の格差」は黙認されてきました。
 また、国会が選挙区割りの是正をするのですが、国会議員は次の選挙でも同じ選挙区で当選したいのですから、今の選挙区割りを是正をしたくない。そこで区割りの是正も進んできませんでした。

◆とらえ方を変えて見えてきた
 これまでこの問題は、「2倍」あるいは「3倍」の投票価値の「格差」が生じている、とのとらえ方がされてきました。
 しかし、「一人一票を持っている人がいるのに対し、自分は0.5票の価値しか持っていない」と捉えたらどうでしょうか?「半人前の選挙権しかない」とことはまさに人権侵害ではないか、と疑問に突き当たります。

◆升永英俊先生を中心に
 この疑問をもって声を上げたのが東京の升永英俊弁士です。升永先生は知的財産訴訟などで多くの画期的な判決を勝ち取った方で、青色LEDの特許権をめぐる訴訟において、200億円の損害賠償を認める東京地裁判決を勝ち取ったことでも著名です。
 升永弁護士は「今の1人0.5票もおかしいが、たとえ1人0.9票だっておかしい。1人1票の徹底的な実現を!」と訴えました。
 ご縁で升永弁護士と知り合い、名古屋南部の濱島弁護士、名古屋法律の坪井弁護士を巻き込み、名古屋高裁には、2009年9月28日に提訴しました。そして、2009年12月28日の大阪高裁での違憲判決を皮切りに、2010年3月18日の名古屋高裁も含む全国7つの高裁で違憲判決・違憲判断判決が出る、というまさに画期的な判決が続きました。名古屋の判決には総会屋対策で有名な東京の久保利英明弁護士や伊藤塾の伊藤真弁護士も足を運んでくれました。

◆名古屋高裁違憲判決
 名古屋高裁(高田健一裁判長)は、先の衆議院議員選挙の合憲性について投票価値に2倍以上の較差が生じていることに対し、「1票の投票権を持つ者と2票の投票権をもつ者とが生じることと同じことになるわけであって、実質的な1人1票制にも明確に反する」と判示し、本件選挙を正面から違憲・違法と判示しました。
 名古屋高裁判決を含む7つの違憲判決・違憲状態判決が歴史を大きく前進させました。
 「1人1票」を徹底的に追及し、選挙区割りを流動的にして、「地域」と議員との固定的な利権を断ち切ることが今こそ必要ではないでしょうか。「地域のための議員」ではなく、まして「議員のための選挙区」ではなく、「全国民の代表」を選ぶという私たちの民主主義に対する成熟度が問われていると思います。
 次は最高裁での勝負です。そして、参議院についても提訴します。歴史を前進させたいと思います。


 
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