法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

法学館憲法研究所

Mail info@jicl.jp
 
今週の一言
憲法情報Now
 憲法をめぐる動向
 イベント情報
 憲法関連裁判情報
 シネマ・DE・憲法
 憲法関連書籍・論文
 ■今日は何の日?
憲法Voice
研究所・客員研究員紹介
中高生のための憲法教室

憲法文献データベース
日本国憲法全文
リンク集
 
事務局よりお知らせ
賛助会員案内
メールマガジン
ご意見フォーム
サイトマップ

憲法情報Now<憲法関連裁判情報>

 

国籍法違憲判決が社会を変える?

弁護士 近藤博徳

TOKYO大樹法律事務所の「大樹」(2009年1月20日)に掲載されたものを同事務所のご了解を得て紹介します。関連情報
(法学館憲法研究所事務局)


 昨年6月4日、最高裁判所は、15人の裁判官全員で構成する大法廷で、国籍法の規定が憲法に反し無効であるとする違憲判決を下しました。この判決は2つの事件に対するものでしたが、私は当事務所の濱野弁護士や他の弁護士とともに第二事件を担当しました。当事者である子どもたちは、日本人父とフィリピン人母の間の子で、みな日本で生まれ育ち、父から認知も受けていますが、両親が結婚していないために日本国籍を取得できません。しかし両親が結婚するか否かは子どもの意思ではどうにもできないことです。そのような事情で国籍の取得に差別を設けるのは憲法14条1項が保障する法の下の平等に反する、として提起したのがこの裁判でした。第一審勝訴、第二審逆転敗訴という経過を辿りましたが、最高裁判所の裁判官たちは、子どもたちの主張が正しいと認めて、子どもたちの日本国籍を認めました。このニュースがお手元に届く頃には、もう国籍法が改正されているでしょう。子どもたちはまさに裁判所を動かし、法律を変えました。
 完全勝利の判決でしたが、私の本当の希望は少し別のところにあります。私は、子ども達の父親が日本人だからではなく、日本で生まれ育ち、これからも日本を祖国として生きていくのだから、日本国籍を認めて欲しい、と思っています。日本で外国人の両親のもとに生まれ、周りの日本人の友達と何一つ変わることなく中学高校まで生きてきた子ども達が、突然見知らぬ「本国」に強制送還された例を、いくつも見てきました。言葉も分からない国で生きていくことを強いられた子ども達の、言い表しようのない絶望感を、いつもひしひしと感じています。両親は不法滞在という法律違反をしました。しかし子どもには責任はありません。その一生を奪われるようなペナルティを課せられても仕方ないほど、子ども達は悪いことをしたのでしょうか?
 今回の最高裁判決は、日本の法制度に大きな影響を与えましたが、私はこの国を変えていくための一歩になって欲しいと思っています。


 
[今週の一言][憲法情報Now][中高生のための憲法教室][憲法文献データベース][事務局からのお知らせ]
[トップページ]