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難民訴訟―(2)難民認定手続き

I.M.記

 日本の難民認定数は、他の国々と比較しても極端に少ないのが特徴です。日本の過去10年間の合計の認定者数が、各国の1年間の認定者数にも及ばないほどです。この違いの原因は、認定手続に問題があるからだという意見があります。
 以下では、難民認定手続を紹介します。

 日本では、難民申請は、申請者が上陸した日から60日以内に、または申請者が日本にいる間に難民となる事由が生じた場合には、その事実を知った日から60日以内に行わなければならないと定められています(入管法61条の2の第2項)。いわゆる「60日ルール」と呼ばれるものですが、これが最初の障壁となっています。難民だとして来日した人の多くは、まずこの規定を知りません。難民という概念を本人が常に明確に認識しているわけではないのです。それに、難民不認定となって送還されることをおそれることから速やかに申請しない人も少なくありません。そうした気持ちを、それが本人の生命や自由にかかわる問題であるだけに、軽々に責めることもできないでしょう。ちなみに、難民条約では、そのような「60日ルール」については規定されていません。

 申請書を提出すると、入国管理局において、難民調査官から事情聴取を受けます(インタビュー)。難民調査官は、事情聴取を調書にまとめ、本人に誤りがないことを確認させたうえで署名させなければなりません(入管法施行規則57条)。この際、弁護士など代理人の立会いは多くの場合認められていません。署名前の調書内容の確認も許されていません。また、通訳の体制も必ずしも十分とはいえないようです。さらに、難民調査官には高度の専門性が要求されますが、人数も少なく研修なども十分ではないと指摘されています。しかも、実際には入国審査官が兼務している場合が多く、出入国管理という治安的色彩の濃い業務に従事する者が難民保護にも携わることは、難民保護を出入国管理行政に従属させる懸念を抱かせています。ちなみに、外国では、出入国管理と難民保護の事務は別の機関に分かれているのが一般的です。

 調査が終わると、入管としての意見がまとめられ本省に送付されます。ここで認定に関して最終的な判断が行われますが、処分権者は法務大臣なので、処分は法務大臣の名でなされます。処分がだされ、たとえば難民不認定処分を受けると、処分を受けた者は、その通知を受けた日から7日以内に法務大臣に対して異議の申出をすることができます。異議の申出がなされると、処分にかかわらなかった難民調査官が、改めて事情聴取などを担当します。この事情聴取には、代理人の立会いが通常は認められています。調査の後、入管の意見が本省の審判課に送付され、再度、稟議に付されます。それを受けて、法務大臣が裁決します。これまでのところ、日本では異議審査で決定が覆ったのはわずかに0.6%です。

 以上の手続において認定されなかった者は、裁判に訴えることもできます。最近は、難民不認定処分の取消を求める訴訟も増えてきており、不認定処分の取消を認める判決も少なくありません。

(法学館LawJournal2003年9月18日配信号より転載)

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