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憲法情報Now<憲法関連裁判情報>

 

難民訴訟―(4)キンマウンラ事件

I.M.記

 キンマウンラさんは、退去強制令書の発付処分取消しを求めているビルマ人です。2003年10月29日の控訴審判決に際しては、審理があまりにも短かったことから請求棄却が十分に予測され、その結果、31日の入国管理局への出頭日(月1回の出頭が義務づけられている)に、キンマウンラさんがその場で収容されてしまうことが危惧されていました。

 そこで、直前の28日から、キンマウンラさん一家の国外退去・離散を回避すべく署名活動が開始されました。28日に開始され、31日までに、4000以上の署名がFAXやメールで寄せられました。30日には、在日ビルマ人難民申請弁護団が、署名1105名分(30日12時現在)とともに、法務省と入国管理局に「要望書」を提出しました。31日午前、さらに寄せられた998名分の署名を携え、キンマウンラさんと妻マリアさんが支援者や弁護士とともに東京入国管理局へ出頭しました。しかし、キンマウンラさんが収容、妻のマリアさんと二人の子どもデミちゃん、ミッシェルちゃんについては引き続き仮放免を許可するという結果となりました。入管側からは、「総合的に判断し、事情を考慮したが、仮放免の延長を認める理由がなく収容の決定をした」という説明がありました。

 キンマウンラさんは、ビルマ(ミャンマー)から1988年に来日し、11年間日本人の経営する運送会社でまじめに働いてきました。1991年、フィリピンから不法入国した妻のマリアさんと出会い、1993年に結婚。翌年には長女デミちゃんが、1997年には次女ミッシェルちゃんが誕生しました。1994年に難民認定申請をしていたキンマウンラさんですが、1998年には難民不認定通知と退去強制令書が発付されました。日本において、軍事政権が続く祖国の民主化のための活動をするキンマウンラさんは、本国に送還されれば迫害を受ける可能性が十分にあります。同年、妻子にも退去強制令書が発付されました。超過滞在と不法入国を理由に家族への国外退去が命ぜられたのです。

 1998年、キンマウンラさんは、退去強制令書発付処分等取消訴訟を提起しました。在日ビルマ人難民申請弁護団は、「キンマウンラさんの難民該当性」と「家族の統合」、そして「子どもの最善の利益」を柱に主張してきました。

 キンマウンラさんは日本で職をもち、家庭を築きまじめに暮らしてきました。厚生年金にも加入し、住民税も納めていました。似たような境遇にある韓国人が退去強制令書の取り消しを求めた裁判で、東京地裁は、「長い間、善良な市民として生活の基盤を築いていることは、特別在留許可を与えるうえで前向きに考えるべき要素だ」という見解を示しています。控訴人キンマウンラさんらの請求が棄却されたことを受けて、11月7日、弁護団は最高裁に舞台を移すことにしました。そして、署名活動は現在も続けられています。日本人以外にも、多くの在日外国人から署名は届いています。11月24日までで、署名はすでに25000名以上にのぼり、11月25日、入国管理局に届けられました。

 12月19日、クリスマスの直前にキンマウンラさんは仮放免され、収容を解かれました。家族と一緒にクリスマスとお正月を過ごしたキンマウンラさんですが、1月16日、仮放免の延長が決定されています。キンマウンラさん家族と弁護団は、引き続き、法務大臣に対して在留特別許可を要請しています。

参考URL: http://www1.jca.apc.org/pfb/

(法学館LawJournal2003年11月27日、2004年1月22日各配信号より転載)

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