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憲法情報Now<憲法関連裁判情報>

 

難民訴訟―(7) カザンキランさん&ドーガンさん

I.M.記

 今回は、トルコ国籍のクルド人で、難民申請しているカザンキランさんとドーガンさん家族を紹介します。


カザンキランさん一家。お兄さんは、このときたまたま不在だった

 カザンキランさん一家は、7人家族。父親のアフメト・カザンキランさん(48歳)は、トルコで、クルド人の自治などを求める政府に批判的な運動に加わっていました。トルコ政府は、公的な場でのクルド語の使用などを禁じ、クルド人に対して強い姿勢で臨んでいます。1990年、アフメトさんは、身の危険を感じ来日。その後、家族を呼び寄せ、日本で難民申請しましたが、三度の申請も虚しく不認定処分を受けています。また、日本では、卵をトラックで輸送する仕事に就いていましたが、交通事故に巻き込まれて怪我をし、仕事を失ってしまいました。
 
 現在、アフメトさんたちは、難民認定を求めて裁判を続けています。昨年、アフメトさんは、控訴審の東京高裁で逆転敗訴してしまいました。これまで、何度か入管施設に収容され、いまは収容を一時的に停止されている仮放免の状態。アフメトさんは、長期の収容のため、ストレスなどの健康不良があり、また不安定な身分のために定職に就くこともできません。母と長女の会社も倒産してしまい、経済的に厳しい状況にあります。しかし、そんななかでも、長女のゼリハさん(21歳)は、「大学に行くことが夢」だと語ってくれました。


ドーガンさん一家


8月15日に国連大学の敷地内で行われたイベント


イベントの際に集まった人々に話をするカザンキランさん。報道関係者も集まった

 ドーガンさん一家は、5人家族。ドーガンさん家族も1990年代後半に来日。「帰国したら身に危険が及ぶ」として難民申請しましたが認められず、現在、係争中です。2人の子どもは、日本で生まれました。父親のエルダルさん(30歳)は、「私たちは難民です。奴隷ではありません」と訴えます。

 ところで、この2家族は、7月13日から東京・青山の国連大学の敷地内で座り込みを続けています。日本政府の難民不認定に抗議の意思を示すことと、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に対して、国連が日本政府に有効な措置をとるよう圧力をかけてくれるよう交渉することが目的です。もっとも、難民認定は日本政府が行うものですし、すでにUNHCRも政府に対しては働きかけているところです。国連大学の敷地内での座り込みは、UNHCRとの交渉を求めて100日間は続けるとしていますが、UNHCRの業務にも影響を及ぼすことが懸念されています。ただ、2家族のいてもたってもいられない気持ちは、痛いほど伝わってきます。

 本来であれば、この問題は日本政府が主体的に取り組むべき問題です。そして、「難民鎖国」といわれる日本政府の姿勢、これは私たち一人一人にもかかわる問題のはずです。母国を追われ、安全を求めてきた日本での収容と出頭の繰り返される生活。いま、2家族は、日本への期待を失いつつあります。「人道復興支援」と称してイラクに自衛隊を派遣している日本政府。しかし、真に「人道」を追求しようとするのであれば、足元でもっとできることがたくさんあるのではないでしょうか。

 酷暑のなか、一日一食で体調も衛生状態も悪くなるなか、いまも2家族の座り込みは続いています。


参考URL: http://www.bekkoame.ne.jp/~pyonpyon/fjc/04/sit-in.htm

裁判日程: 2004年9月3日(金) 11時20分 東京地裁611号法廷
      エルダル・ドーガンさん 難民不認定処分取消訴訟

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