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憲法情報Now<憲法関連裁判情報>

 

『学校に言論の自由を』裁判(1)

2009年9月7日

以下、「土肥元校長の裁判を支援する会」のご了解を得て、そのブログに掲載された情報を転載します。(法学館憲法研究所事務局)

 7月23日(木)午前10時より第一回口頭弁論が東京地裁606号法廷で行われました。約50人の傍聴席は、開廷10分前には満員となりました。中には小学生と親御さんの姿も。
 その後駆けつけ、傍聴出来なかった方は20人以上。
 以下は傍聴した人の報告です。
「土肥元校長の意見陳述はいままでに土肥元校長が言ってきたことを簡潔にまとめたものでした。(注:下記【第一回口頭弁論 意見陳述】)
『教育委員会は一度も公開討論に答えてくれていない。裁判において教育委員会が対応してくれることに感謝します。』と締めくくりの挨拶で述べられました。
その後、吉峯弁護士の代理人陳述がありました。都教委側は弁護士ふくめ4名が出廷していました。」

 10時半前に閉廷。東京地裁民事第19部で裁判官は青野洋士、松本真、武智鈴子。

 その後ただちに弁護士会館5階に移動し、報告集会を持ちました。

 はじめに吉峯弁護士が報告と解説。「この裁判は事務所をあげて取り組んでいる。都教委はどう考えても異常である。われわれもいろいろな教育裁判を手がけているが、土肥元校長は本当にいいところにタマを投げてくださった。
 背景の教育権をめぐる考え方として2つある。ゴリゴリの国家教育権説と、国民自身の教育権説。
 単純に一方だけというのでなく、民主主義国家としてどこで線を引くか。子どもの学ぶ権利に立って考えるべきだ。
 裁判所は建前上は傍聴を無視しているが、実は気にしている。皆さんのようなまともな人たちが大勢傍聴に来ることで、裁判に影響がある。」 
                    
<土肥元校長の挨拶>
「さわやかな心境です。裁判でひとつひとつ、都教育委員会の違法行為を解明していきたい。皆さんの支援をお願いします。」

 吉峯総合法律事務所の高橋弁護士、大井弁護士、木の切弁護士にもご挨拶を頂きました。
 木の切弁護士は「この裁判を手がけることができて光栄です。」とのこと。

― 質疑応答 ―
Q.「裁判の目的は?」
A.(以下の答えは吉峯弁護士)「こうむった損害に対して国家賠償をもとめるもの」
Q.「提訴の法的根拠は何か?」
A.「憲法21条表現の自由、同26条教育を受ける権利など」
Q.「国際人権規約違反だと思うので、それを前面に出す必要があるのでは?」
A.「検討して取り組む」
Q.「細かいところは弁論準備でという意味は?」
A.「この裁判はきちんと記録をとっていくつもりだ。訴状で請求原因をあきらかにし、審理で立証し、それに対し被告側が答弁するという口頭弁論の手続きを踏んでいくが、細かい事実関係なども弁論で突合せをしていくということだ。」
Q.「傍聴できない人もいた。もっと大きな法廷でやれないのか?」
A.「もっと大きい法廷もあるが、混んでいるため変則的な日程になりがち。様子を見て考える。」

 その他立正大学心理学部教授の浪本教授(教育法学)、土肥元校長の同窓で現在東大研究所勤務の人の話や、町田での集会準備の話などがありました。

 次回口頭弁論は9月10日(木) 16時〜 同じ606号法廷の予定

【第一回口頭弁論 意見陳述】

@34年間の教師生活の中で、私は、障害児、勉強の好きな子、嫌いな子、運動が得意な子等々様々な生徒と関わってきました。私と関わった生徒はみな幸せになって欲しいと思うのは教師として当たり前のことだと思います。そのためには生徒一人ひとりの人権が尊重される社会こそが生徒の幸せを保障する社会だと思います。人権が保障されるということはその前提として平和でなければならないのです。だからこそ私の信条は基本的人権の尊重と平和主義なのです。
Aその基本的人権の中でも最も重要なのが言論の自由だと思っています。特に多くの意見を反映できる制度としての民主主義政治にとって言論の自由が絶対不可欠な要素であり、言論の自由がない政治は民主主義政治とはいえず、独裁政治です。言論の自由がない組織は歴史を見れば明らかなように必ず腐敗し崩壊しています。戦前の日本も、ソビエト連邦も、そして船場吉兆やミートホープも崩壊しました。民主主義を教える学校で、民主的運営が行わなければ民主主義は教えられません。教師の言論の自由がなくなれば必ずや生徒の言論の自由も奪われ、日本が再び崩壊の道を歩むと思います。
B教育は誰のためのものですか。当然、生徒のためだと思います。だからこそ私は生徒のために全力を尽くしてきました。その証が、私の退職に当たり、生徒達が私にくれたに卒業証書と卒業生全クラスの色紙です。私は何も悪いことをしていません。私の信条は法令遵守であり、法的に決まったことはきちっと守っています。私が今問題にしている教職員の意向を聞く挙手採決も三鷹高校ではやっていません。でもこの通知は言論統制に繋がり、最終的には生徒のためにならないと思うからこそ通知の撤回を要求しただけなのです。生徒、保護者に高く評価され、法令を守っている私が、何故非常勤教員不合格になったのか、どうしても納得がいかないのです。
C教育現場で私は生徒に「自分が思ったことははっきりと言いなさい。」と指導してきました。それは生徒の主体性、自主性を育てるからです。ほとんどの学校の教育目標に「自主性、主体性」という言葉が出てきます。私はそれを生徒に教えた責任からも、自分の思ったことを言わず、不当な権力にへつらうことは出来ません。もし不当な権力の言いなりの社会なら、全国の学校の教育目標に掲げてある「自主性、主体性」の言葉をはずしていただきたいと思います。
D今回提訴した一番の理由は「生徒のために」です。私の教えた生徒達が、自分の思ったことを自由に発言できる社会にしたいからこそ提訴したのです。教育委員会も校長も教員もそれぞれの役割を果たして生徒のための教育活動が可能になるべく全力を尽くしているはずです。教育委員会は施設、人事等の条件整備で、校長は教員のやる気を起こし、学校の活性化を図るリーダーシップを発揮し、そして教員は生徒と直接向き合って生徒のために汗を流すのです。今まで東京都教育委員会に何回も公開討論を要求しましたが、全て断られました。国民が私の考えが「生徒のためにはならない」と判断したのなら、私は素直に国民の意見に従つもりでした。今回、裁判という公の場で東京都教育委員会と討論できることを嬉しく思います。この裁判を通して、私の見解と東京都教育委員会の見解を十分に吟味・比較して公平な判断を下されるようお願い致します。

2009年(平成21年)7月23日 
元三鷹高等学校 校長 土肥信雄


 

 

 
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