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政党助成金違憲訴訟―(2)「民主主義のコスト論」

I.M.記

 被告・国が主張する「民主主義のコスト」論について紹介します。

 国は、政党は議会民主制において不可欠の存在であり、その担い手である政党は「公的機能」を果たしているのであり、その政党に助成することは「民主主義のコスト」だと主張しています。こうした国の主張は、一見するともっともらしく聞こえます。しかし、その中身はよく考えてみる必要があるように思われます。

 まず、政党自身は、いかなる国家機関でもなく、あくまでも私的結社にすぎません。これが大前提です。確かに、政党は、政策を掲げて民意に訴えることで、国民の政治的意思形成に影響力を及ぼします。しかし、このレベルでの影響力の行使は、NGOやメディア、労働組合なども日常的に行っているものであり、政党に限られるものではありません。政党が、これらの他の結社と異なるもっとも大きな点は、おそらく政党が選挙(権力選定過程)に候補者を擁立し、議会に進出し権力担当者となること(権力編成過程)を目標とするところに求められるでしょう。このプロセスをより詳しくみるならば、政党機能が発揮される場面とは、政治的意思の予備形成、権力選定過程、権力編成過程の3つに区別されることになります。

 政治的意思が予備形成される場面とは、日常的に政治活動が展開される局面で、制度的に意見が集約される以前の段階を指します。ただし、こうした場面では、政党以外の団体であっても、たとえば新聞の社説やNGOなどのウェブサイトなどのように、国民の政治的意思形成に影響を与えるものは多々あります。政党も重要なアクターの1つですが、政党のみがアクターというわけではありません。

 権力選定過程とは、一言でいえば選挙の場面です。ここでは、政党が中心的な役割を果たしますが、しかし無所属候補も存在しており、権力選定過程のアクターという観点からは、政党というよりも、端的に候補者ととらえるべきです。国民代表を選出するというこの過程は、その意味で公的機能を有するものです。したがって、たとえば選挙公営という形で助成されることはありえます。

 権力編成過程とは、国民代表が国民代表として活動する場面を指します。議会での活動が中心となりますが、ここでも政党は重要です。しかし、アクターとしてより正確にいうならば、政党自体というより議員がそうなのであり、また無所属議員もいますから、アクターとしては議員個人ないし会派としてとらえる方が適切です。というのも、政党というのは議会内議員だけで人的に構成されるわけでもなければ、活動の範囲も議会内にとどまるわけではないからです。この議員ないし会派が公的機能を有することは間違いありません。現に、議員や会派に対しては歳費など様々な手当がなされています。

 以上のようにみてくると、政党機能は確かに3つの場面でそれぞれ発揮されますが、しかし、公的機能の担い手として政党を把握しなければならない場面はないように思われます。政党ではなく候補者や議員としてとらえるべき場面もありますし、政党がアクターの1つにしかすぎない場面もあります。こうしたことをふまえると、政党が政党というだけで助成を受けるのには、かなり論理に飛躍があるように解されます。

(法学館LawJournal2003年9月4日、11月13日各配信号より転載)

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