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憲法情報Now<憲法関連裁判情報>

 

政党助成金違憲訴訟―(4)東京地方裁判所判決

I.M.記

 政党助成金違憲訴訟の判決が、2004年2月25日、東京地方裁判所において出されました。

 判決は、原告敗訴の内容でした。裁判所はこの間、原告の陳述をかなりの程度認め(原告113人のうち約20人が陳述しました)、3人の学者証人と1名の原告の証拠調べを行うなど、丁寧な訴訟指揮をしてきました。そうした経緯から、政党助成法について憲法判断に踏み込むことも期待されていましたが、判決はそうした踏み込みをすることなく、非常にあっけないものでした。

 判決が、法的争点として整理したのは、@政党助成法の憲法19条適合性、A政党助成法制定の違法性、B損害額の3点でした。それ以外の論点は、「政党助成法の制定目的やその内容の合理性などについては検討するまでもない」として判断の対象とはしませんでした。

 争点に対する判断としては、以下のようなものでした。すなわち、政党助成金の交付は、予算審議を経て決定され、国会は予算案を修正することも可能であるから、政党助成法により自動的に交付されるものではなく、また政党交付金は一般会計で処理されており、国民から特別に金員を徴収する仕組みにはなっていないのであり、結局、原告らの支払った税金が、直ちに政党交付金として交付されているわけではない。政党助成法は、原告らに特定の思想を強制するものではなく、不利益を課すものでも、その思想の露見を強制するものでもない。したがって、政党助成法は憲法19条に違反せず、国賠法1条1項にも反しない。加えて、南九州税理士会訴訟最高裁判決は、民法上の法人である税理士会の目的の範囲についてのものであり、また税理士会の特別会費にかかわるものなので、本件とは事案を異にする。

 上記の判決については、様々な問題を指摘することができます。まず、国会の予算修正権の範囲についてですが、人口一人当たり250円を政党に交付することは法律が明文で規定していることで、これは修正できないとするのが学説の一般的な理解です。また現実にも、修正が国会でなされたことはありません。次に、南九州税理士会訴訟最高裁判決についてですが、今回の判決は明らかに最高裁判決を誤読しています。そもそも、税理士会は「民法上の法人」ではなく「税理士法上の法人」です。最高裁判決は、「(民法43条の法理が妥当する)会社とはその法的性格を異にする(税理士法上の)法人」である税理士会の目的の範囲を論じていたのであり、そしてその会員には、実質的に脱退の自由がないことをふまえ、その自由の制約の限界についての判断を示していたはずです。

 政党助成金制度をやはり有するドイツでは、この間、制度のあり方をめぐって、立法府と連邦憲法裁判所との間で歴史的にも精緻な論争が展開されてきました。それに比べて今回の判決は、論点の所在を正解することができず、最高裁判決についても誤読を犯してしまうという結果に終わりました。

 原告側は、今回の判決を不服として控訴の手続をとりました。今後も、控訴審の模様を紹介するとともに、論点についても引き続き解説を行っていきたいと思います。

(法学館LawJournal2004年3月18日配信号より転載)

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