法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

法学館憲法研究所

Mail info@jicl.jp
 
今週の一言
憲法情報Now
 憲法をめぐる動向
 イベント情報
 憲法関連裁判情報
 シネマ・DE・憲法
 憲法関連書籍・論文
 ■今日は何の日?
憲法Voice
研究所・客員研究員紹介
中高生のための憲法教室

憲法文献データベース
日本国憲法全文
リンク集
 
事務局よりお知らせ
賛助会員案内
メールマガジン
ご意見フォーム
サイトマップ

憲法情報Now<憲法関連裁判情報>

 

政党助成金違憲訴訟―(6)2003年政治資金収支報告書を診る

I.M.記

2004年9月10日、総務省は、2003年の政治資金報告書を公表しました。今回は、この内容を紹介したいと思います。

 報告書によれば、各政党の収入と支出(本部分)は、以下のようになります。

          収入         支出
自民党 − 256億9730万円   303億2630万円
民主党 − 114億4199万円   141億7152万円
公明党 − 174億0862万円   173億8762万円
共産党 − 307億1027万円   315億8979万円
社民党 −  27億6129万円    30億5725万円

 また、報告書からわかることは、ほとんどの政党にとって、企業・団体献金と政党助成金が重要な収入源となっていることです。各政党の収入に占める企業・団体献金と政党助成金の割合を示すと、以下のようになります(政党本部分)。

    企業・団体金 政党助成金 合 計
自民党 59.9% 13.8% 73.7/100.0
民主党 0.5% 84.6% 85.1/100.0
公明党 1.2% 16.8% 18.0/100.0
共産党 0.0% ----- 0.0/100.0
社民党 0.8% 61.6% 61.9/100.0

*共産党は、企業・団体献金は受け取らず、個人献金しか受け取っていません。
 また、政党助成金も受け取っていません。事業活動(新聞発行)が収入の中心を占めています。

 こうして報告書をみてみると、自民党や民主党の企業・団体献金や政党助成金への依存度がかなり高いことが数字からもわかります。自民党の場合、企業・団体献金が35億4359万円(本部分)、政党助成金は153億9755万円となり、民主党の場合、企業・団体献金が5672万円(本部分)、政党助成金は96億8276万円となっています。

 企業が政党に対して寄付行為をなすこと自体は、八幡製鉄事件最高裁判決においても認められていますが、この判決には、周知のように批判が強いところです。また、政党助成金導入の際の公約の一つには、企業献金の見直しが含められていましたが、こうした公約は反故にされています。

 国からの政党助成金にせよ、企業からの献金にせよ、こうしたものに依存する政党の体質は、政党を主権者である国民から遠いものにさせてしまう傾向があります。自民党の場合であれば、企業献金への依存が約6割となっていますし、民主党の場合であれば、政党助成金への依存が約8割にもなっています。民主党は、私的結社ではなく、ほとんど「国営政党」のような状態です。

 カネにまつわる不祥事は、最近も日歯連の問題が浮き彫りになったように後を絶ちません。政党は、国民の声を広く吸収し、それを議会という場に繋ぐ伝声管のような役割を担っていますが、そのためにも特定の勢力や国庫に依存するような体質は改められるべきです。その意味で、自民党の企業という主権者ではなく法人への依存は、参政権や議会制のチャンネルの観点からも問題を含んでいますし、民主党の国庫への依存は、民主党が党員政党ではなく議員政党だという足元の弱さを物語っています。

 今回は、思想・信条の自由の観点からではなく、政党のあり方という観点から、政党助成金や企業・団体献金の問題を、政治資金規正報告書を題材にして考えてみました。
 引き続き、多様な観点からこの問題を紹介していきたいと思います。


<<(5)へ

 
[今週の一言][憲法情報Now][中高生のための憲法教室][憲法文献データベース][事務局からのお知らせ]
[トップページ]